2008年12月4日 未分類

解決迫る世界の声 日本政府は今すぐ謝罪と補償を 第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議 in 東京 (11月23日~25日)

「17年以上も証言してきて、これ以上何を証言しろというのですか」――。第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議は、〝世界と連帯し、日本政府に即刻解決を要求する〟をテーマに、11月23~25日(会議、公開集会、国会行動)、都内で開かれ、アジア各国の被害者と海外の代表が8カ国31人、国内からは支援団体や日本軍「慰安婦」問題の解決めざし活動するNGOの代表など、のべ855人が参加しました。
◆たたかいの先頭に立つ被害者女性たち◆
連帯会議には、韓国、在日本、台湾、中国、東ティモール、フィリピンの被害女性たちが参加し、証言、会議、国会行動を共にしました。東ティモールのエスペランサ・フェルナンデスさんは、「16歳のとき、近隣の村から集められた11人の少女たちとウアトゥビナロに連行され、監禁されました。その少女たちの中で私だけが生き残っています。何時間もかけて首都に出て飛行機に乗って日本に来たのは、きちんと謝罪、補償してほしかったから。日本政府は私の人生に思いをはせる必要がある」と訴えました。
妊娠し胎児だけでなく子宮も摘出され、拷問のやけどの跡が全身に残っているという、韓国の李秀山(イ・スウサン)さんは、「みなさん、考えてください、当時、私は16歳でした。お母さん…」と泣き崩れました。2人とも公の場での発言は初めて。ほかの証言者の話を聞いているうちに泣き出してしまったり、証言の途中に絶句し、泣き伏す場面もありました。
当時、10~20代だった被害者たちは80代、訃報は増えるばかりです。
「来年は来ることができるか…。同じ苦しみを受けた女性たちのためにも最後までたたかいたい」(台湾 鄭陳桃 チェン・タオさん)、「私たちは過去のためにたたかっているのではない、未来のためにたたかっているのです」(フィリピン ヴァージニア・ヴィリアルマさん)など、被害者のなみなみならぬ思いが伝わり、「被害者が生きている間に日本政府による謝罪と補償を」「一刻も早く」の決意をみんなで共有しました。
◆孤立深める日本政府◆
日本政府に公式の謝罪と賠償を求める各国の決議は、昨年の米下院(07年7月)・オランダ議会(11月)・カナダ議会(11月)、EU議会(12月)に続き、この秋には、韓国と台湾でも採択され、フィリピン、ドイツ、イギリスなどでも同様の動きが広がっています。日本でも兵庫・宝塚市、東京・清瀬市、札幌市で日本政府に誠実な対応を求める意見書が採択されました。
さらに国連自由権規約委員会が初めて、勧告を出すなど、日本軍「慰安婦」問題解決を求める声がひろがり、問題解決に背を向ける日本政府の対応が孤立を深めていることが、討議を通して浮き彫りになりました。
日本ではあまり報道されなかった、これら決議の背景にどんな運動と思いがあったのか、海外代表の発言や会議に寄せられた各国議員や活動家のビデオレターなどから、知ることができました。
〈米国 121連合 アナベル・パクさん〉
下院決議121号採択にむけてつくられたネットワーク「121連合」のアナベル・パクさんは、「日本政府に問題を解決させる歴史的なチャンス。世界各国がみなさんをサポートしています。でも、国会議員まかせではだめ。私たち市民が、国会議員と広範な市民を説得していくのです。決意をもって多くの人が動けば、社会は変えていける!」と参加者を励ましました。
〈カナダ トロント・アルファ(アジア第二次大戦史学習保存会) フローラ・チョンさん〉
「中国、韓国、フィリピン、オランダから被害女性を招いたことが力となりました。3カ月で5万を超える署名を集め、証言を聞いた国会議員が心動かされ、決議、採択の流れへ。政治を動かせるのは人びとの力です」と。
〈韓国 民主労働党の国会議員 郭貞淑 カク・ジョンスクさん〉
「日本軍〝慰安婦〟問題は、一議員、一政党、一個人の問題ではなく真実の問題。真実を知り、真実を語る政治家を選んで欲しい。日本は、次世代のためにも、この機会をのがして非難される国になってはいけません」と訴えました。
◆歴史に向き合う責任が
各国の決議に加え国連機関の勧告は、正式な謝罪や補償だけでなく、教科書への記述や次世代への教育を強く求めているのが特徴です。
背景には、日本政府が国際社会の声を無視しつづけ、「93年の〝河野談話〟で謝罪し、女性のためのアジア平和国民基金(民間)で道義的責任は果たした」との姿勢をとりつづけているからです。野党共同の解決促進法案はこれまでに8回国会に出されましたが、すべて廃案にされ、教科書の記述は激減、マスコミの「自主規制」もつづいています。
25日の国会行動、内閣府との交渉でも政府は同様の見解に終始。「自らの命をかけて最後の叫びをあげているのに、無視することができるのか」(中国)、「慰安婦がいなくなれば、日本は許しを得て名誉を回復する機会を失うことになる」(フィリピン)など、海外代表からも抗議の声があがりました。
院内集会には、民主、共産、社民、無所属などの議員が参加、「野党共同の解決を求める促進法を臨時国会に出したい」と発言しました。民主、共産(党首)、社民(党首)、新党日本(代表)など、政党との懇談もすすめ、国会へ向けた運動が強まっています。
インドネシア、オランダ、カナダ大使館、駐日欧州連合委員の方も参加しました。連帯会議では、「謝罪と補償のための法律を制定するよう、あらゆる方法を駆使して日本政府に働きかける」「国際連帯をいっそう強化する」「歴史認識を育て、記憶を継承し、女性に対するいかなる暴力も人権侵害も許さない運動を推進する」と行動綱領を盛り込んだ決議を採択しました。

アジア連帯会議と新婦人
 1992年8月、ソウルにアジア6カ国から集まり、「慰安婦」被害者の人権回復に向けて共同でとりくもうと決意したのが始まり。今回は、高田公子会長、米山淳子事務局長はじめ各地から会員が参加。高田会長は1日目、討論の場で被害女性への連帯と決意を表明。新婦人はこれまで95年の世界女性会議をはじめ国際会議・集会の場でこの問題を訴え、国内で女性団体と共同し、「解決促進法」制定をもとめ運動している。
「連帯会議」の公開集会

「連帯会議」の公開集会


「目を閉じても、私は死んでいません。正義を回復し、平和を築くまでたたかいつづけます」と訴える韓国の李容洙(イ・ヨンス)さん(25日、国会前のスタンディングデモで。前列中央は高田会長)

「目を閉じても、私は死んでいません。正義を回復し、平和を築くまでたたかいつづけます」と訴える韓国の李容洙(イ・ヨンス)さん(25日、国会前のスタンディングデモで。前列中央は高田会長)

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