2020年3月9日 アクション

新型コロナウイルスで文科、厚労省要請。

新日本婦人の会は3月5日、「新型コロナウイルス感染対策の『学校休校』措置にかかわる緊急要請」を文部科学省、厚生労働省に提出し、担当各課との懇談を行いました。

 2月27日に安倍首相が突如発表した、全国の小・中学校、高校、特別支援学校への「一律休校」要請の直後から、新婦人中央本部には全国の保護者や子どもたちの悲鳴が続ぞくと寄せられています。
 3月5日、寄せられた声180人分と要請文を、東京・埼玉・千葉・神奈川の若い世代の会員ら18人(文中仮名)で、文部科学省、厚生労働省の担当職員へ直接届ける緊急要請をおこないました。(上写真は3月5日、衆議院議員会館にて要請中の参加者)

参加の会員の声を紹介します。

 

慣れない環境でクタクタ

 

 埼玉・大宮支部の大島留美さんは、「学校預かりが決まった時はホッとしましたが、初日から大混乱。子どもはトイレと水以外は教室から出られず、5時間無言で自習。お弁当も黒板の方を向いたまま無言で…。慣れない環境に子どもたちはクタクタ。『もう学校行きたくない』と。子どもも人間です。とにかく預かればいいというものではない」と声を上げました。  

 

 千葉・船橋支部の林原かおりさんは、卒業を控えた中学3年生の声を紹介。「最後の登校日、泣き続けていました。『オリンピックはやるのに、どうして私たちの卒業式はやってはいけないの? ずっと受験で我慢してきた。せめて1日くれたら。みんなと外で遊んだり、笑ったり大きな声で歌ったりしたかった…。ありがとうって言えなかった』。卒業式までの数日間を奪われた子どもたちの心の傷はとても大きい」と訴えます。  

 

 神奈川・横須賀支部の衣浦知子さんは、臨時休校の受け皿として原則開所が「要請」された、学童保育の問題を指摘。「いまでも、保護者運営で日々大変。そこに受け皿として午前中から開所というが、人件費もかかり、どうシフトを組むのかなど、日々もめていて、もう爆発しそう。学童保育の指導員は労働者としての権利も守られず、子どもにとってもつらい場所になってしまっている。箱さえあればいいんじゃないです!」。  

 

 東京・千代田支部の鳥井さやさんは、「3・11で福島から東京に来ました。あの時も3月で、子どもは友だちとお別れも言えず、今でも傷を抱えている。子どもたちの心のケアを」と訴えます。  

 

 文科省の担当者はうなずきながら、「みなさんの思いは、よくわかります」「貴重な意見をありがとうございます」と。さらに、「休校からの3日間でこのような事態が生じるなか、文科省としても何ができるか。声を踏まえて持ち帰って検討したい」と回答。また、厚労省の学童保育担当者は、「午前中から午後まで延長して開所することになり、人も場所もお金も足りないという事態です。補助金の加算や空き教室の利用など文科省と協力して対応に当たりたい」と返答しました。

参加者からは「各自治体への申し入れもしたい」など、感想が出されました。

 

 

学童保育財政引き上げへ

 

 今回の文科、厚労省要請には、畑野君枝衆院議員(共産)が同席。翌6日、衆院文科委員会で畑野議員は、萩生田文科大臣に新婦人の集めた「声」をいくつも読み上げて改善を迫りました。 その中で、学校給食では、「文科省でも話し合っている。(休校から)1週間たったので、学年で時間をわけてとるなど、感染予防を工夫し、実施を検討したい」。
 また学童保育の財政措置についても「上乗せを検討する」と答弁。「大変な時期だから、一緒にとりくんでいきたい」とも述べました。 文科省や子どもをとりまく大人たちこそ、子どもの権利条約にある「子どもの最善の利益」「子どもに特別なケアを及ぼす必要性」を一番に考え、行動するべきです。声をあげ、迫っていくことが、その力になります。

 

 

要請で明らかになったこと

 

▼特別支援学校 「障がいを持つ子は、通常と違う生活リズムでパニックになり、しんどい気持ちから手が出てしまうことも」

→とりわけ特段の配慮が必要。保護者が休めない場合や家庭では難しい場合、居場所の確保や登校など、特徴に応じた配慮を求める通知を出したところ。と回答あり。

▼学ぶ権利の保障  「家庭学習として、教科書丸写し(小学生)など、家庭丸投げするのか?」

→家庭学習でポータルサイトの活用を。学力テストは現時点で実施の方向、との説明に、「ベネッセが宿題や学力テスト事前学習などを次つぎ配信(都立高校)。できない子は置いていかれる」「経済格差で教育の均等性が失われていいのか」「学習を取り戻すのが優先で、学力テスト対策との両立は無理」と回答。

▼学校での安全 「学校預かりの初日に、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度(※)『対象外』の承諾書を書かされた」

→「学校預かりは災害共済給付の対象」と事務連絡(2月28日)。対象になることを周知徹底させたい、と回答。

 

※データは以下よりダウンロード可能です。(全文テキストは3月5日投稿のニュースに掲載しています)

新型コロナウイルス感染対策の「学校休校」措置にかかわる緊急要請

 

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