北京行動綱領および女性2000年会議成果文書に関する実施状況の評価」、
「女性および女児の地位向上およびエンパワーメントのための新たな課題
および将来戦略」に関する意見
2005年1月20日 新日本婦人の会
北京会議から10年、日本では男女共同参画社会基本法が制定され、各分野での法整備も一定進みました。しかし、女性の経済的自立はいっそう困難になり、政策・方針決定への参加の低さなど実質的な平等や地位向上は遅々として進んでいません。男女共同参画の推進へのバックラッシュも強まっています。
経済のグローバル化のもと、新自由主義にもとづく多国籍企業の利益最優先の活動による否定的な影響は、先進国・発展途上国を問わず女性にとって深刻です。世界各地で紛争が続き、アメリカの大義なき戦争と占領、それに加担する自衛隊の派兵のもと、イラク情勢は重大な局面にあります。多発する自然災害においても、もっとも被害を受けるのは女性や子どもなど社会的に弱い立場の人々です。いま、地球規模で経済活動や資源の使い方を見直し、温暖化防止などへの緊急な対策がもとめられています。これは、国際婦人年以来の「平等・開発・平和」の目標を実現することでもあります。国連、各国政府、NGO・市民社会が協力して、あらゆる分野での女性の参加を増やし、戦争のない、すべての人が人権と平等を保障された世界へと、とりくみを強めることがもとめられています。
以上の立場から、終戦・被爆60年の年に開かれる第49回女性の地位委員会に向けて、日本政府にたいし以下の点を要望します。
① バックラッシュに毅然と対処し、男女共同参画社会基本法の理念の達成に全力を挙げる。
② 人件費削減をねらう非正規雇用化に歯止めをかけ、雇用における平等と均等待遇を保障するための実効ある措置をとる。公的社会保障制度を拡充し、仕事と家庭の両立を支援する。
③ 人身売買の禁止と被害者救済のために、ジェンダーの視点に立つ法整備を行う。被害者が高齢化する中で早期解決がもとめられている従軍慰安婦の問題で、侵略戦争への反省に立ち、公式に謝罪と補償を行う。
④ 政策・方針決定への女性の参画を拡大するために、選挙制度の見直しなど抜本策をとる。
⑤ 災害国としての知識や技術を生かし、社会的弱者への特別な配慮ある国際的支援を行うとともに、国内においても十分な予算と人員を配置し防災の抜本策をとる。
⑥ 今地位委員会において、北京行動綱領、2000年成果文書、女性差別撤廃条約など女性に関する諸条約への全面的支持と実施の意志を表明し、被爆国の政府として、一日も早い核兵器廃絶と国連憲章にもとづくの平和のルール確立を呼びかける。