新婦人は、内閣総理大臣らに上記の【要請書】を送付しました。
内閣総理大臣 自民党総裁 安倍晋三 様
農林水産大臣 江藤 拓 様
公明党代表 山口那津男 様
種苗法改定案は審議入りせず廃案にし、
政府と国会は新型コロナ感染拡大防止に総力をあげてください
2020年5月4日
新日本婦人の会
会長 米山 淳子
新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、政府は総力をあげて医療体制の充実と自粛に伴う経済補償を早急に拡充させ、国民の命とくらしを守ることが求められています。また新型コロナを抑え込むまでには長い時間がかかると見込まれ、課題は山積しています。このようななか、政府は3月3日に種苗法改定案を閣議決定し、今国会で成立をはかろうとしています。不要不急の種苗法改定案の成立は断念し、国会のすべての機能を感染症対策に集中させることを強く求めます。
種苗法は、新しい品種の開発者の知的財産保護を規定しています。改定案は、農家の「自家増殖」を原則禁止とする一方で、民間事業者の種子事業への参入を促し、品種登録を積極的に促進することを掲げるものです。農民を締め出し、民間企業のために新品種を育成する権利(育成者権)の強化を盛り込んだことは重大な問題です。
自家増殖の原則禁止は農民の権利を侵害し、増殖させる場合の申請と使用料金の新設は、農家の生産意欲を削ぎ、商品の価格上昇を招いて消費者の新たな負担増につながります。
これまで農業生産を担う農民は、作物の栽培と自家増殖によって、地域に合った、よりおいしく栽培しやすい品種改良に貢献し、それを地域で紹介して広め、多様な食物と食文化を作り上げることに寄与してきました。こうした農民による品種改良の繰り返しは、農民の権利の基礎であり、UPOV91(植物の新品種の保護に関する国際条約)など様々な国際条約や、2018年に国連で採択された「農民の権利宣言」でも「農民の自家増殖の権利」が明記されています。
SDGs(持続可能な開発目標)でも、環境を守りながら、安全な食料を供給する小規模、家族農業への支援強化が求められるなか、種苗法改定案は、この流れに逆行するものです。気候危機に直面する中、各地で自家増殖を促進し、多種多様な品種を育てることはますます重要です。以下、要請いたします。
1、種苗法改定案は審議入りせずに廃案にし、政府と国会は新型コロナ感染拡大防止に総力を上げてください