2020年11月25日 アクション

緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」の結果について 要請&記者発表

 

 新日本婦人の会は、緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」を行い、寄せられた切実な声をもとに、11月25日(水)男女共同参画局、各政党へ要請を行いました。

 要請文とアンケートのまとめは以下です。

 

内閣総理大臣 菅義偉 様
女性活躍担当、内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 橋本聖子様

 

困窮する女性への年越し・生活支援の緊急対策を求めます
―緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」結果から―

 

2020年1125
新日本婦人の会
会長 米山淳子

 

 新型コロナウイルス感染の爆発的な広がりのなか、年末を前に、国民の生活不安が募り、とくに深刻な経済的困窮に直面する女性のあいだで自殺者が急増する事態となっています。

 この重大な状況に、国連NGOの女性団体、新日本婦人の会は、114日から20日まで「コロナ禍での仕事の『困った』の女性の声」を緊急募集し、47都道府県358人からリアルな実態と痛切な声、要望が寄せられました(別紙「結果」に回答者属性、声一覧)。

 その主な特徴は、

①非正規雇用の女性は、解雇や仕事減・収入激減がほとんどで、「女性活躍、雇用増」と言いながら調整弁として非正規を広げてきた問題が露呈、コロナ危機の長期化と12月支援打ち切りで生計が立たなくなっている、シングルマザーの困窮が際立つ

②正規雇用でも、収入減や在宅ワークの自己負担、雇用不安を訴え、とくに医療・介護・保育などのエッセシャルワーカーのなかで賃金・一時金カットと労働強化が横行し、自営業やフリーランスも直接支援なしには生活できない

③子育てや介護などの負担、家族の失業、家庭不和、単身者の孤独など、コロナうつなどを訴える例が多数あり、経済的にも精神的にも追い込まれている

④PCR検査の遅れが女性の苦難を増大させており、検査徹底を望む声が圧倒的で、GoTo事業など政府のコロナ対策の見直し、税金・国保の軽減、消費税減税、学費減免、持続化給付金・家賃補助の継続が雇用維持のためにも必要など、切実な要望があふれています。

 政府は9月、内閣府男女共同参画局に「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置し、19日緊急提言を発表。先に答申された「第5次男女共同参画基本計画の策定にあたっての基本的な考え方」ではコロナ感染拡大で「歴史的な転換点」にあり、性暴力や雇用、所得、一人親家庭、子育て、介護などをあげて「非常時・緊急時にも機能するセーフティネットの整備を図る必要」を提起しています。今こそが、「非常時・緊急時」であり、自助、共助でなく、「公助」が求められる時です。

 世界121位のジェンダー平等施策の遅れが、コロナ対策の遅れと重なり、事態は切迫しています。国連も各国政府に、ジェンダー視点でのコロナ対策強化を呼びかけています。本格的な冬の到来と年越しを前に、これ以上犠牲者を出さないため、日本経済をまわすためにも、その重要な担い手である女性への緊急の生活支援を急いでとられるよう、強く求めます。

緊急要請項目

1、非正規で雇止め、収入激減など、コロナ下で苦しむ女性むけの「24時間無料電話相談」(土日祝日含む)を年末年始にむけて緊急設置し、宿泊場所や臨時給付金など当事者に行き届く支援策を緊急におこなうこと。かけてもつながらない電話でなく、すぐに対応できる十分な体制の確保と広報の徹底、また自治体も対応できるよう特別の財政措置をとること。

2、小学校休業等助成金制度の対象の多くが女性であり、「会社が協力せず使えない」現状がいまだ広くあるなか、女性支援策として個人申請化と期限延長の緊急措置をとること。

3、エッセンシャルワーカー、ケア労働にたずさわる人びとのPCR定期検査と支援を緊急におこなうこと。医療機関の減収補填、保健所体制の強化、平均より10万円低い保育・介護分野の賃金引き上げや危険手当給付金、補助など国の責任でできることをただちに実行すること。

4、新型コロナ感染者への差別や誹謗中傷はあってはならず、防止と相談など緊急対策をとること。「コロナ感染症関連人権相談窓口」を設置し、テレビCMでよびかけ、被害者の弁護費用助成も行っている自治体の努力に学び、国でただちに具体化すること。

5、シングルマザー、一人親家庭に対し、野党が共同して要求している支援金再給付をおこなうこと。

6、コロナうつ、家事・育児のストレス、DVなどに対処できるよう、メンタルケアの専門員の配置を含むサポート体制を緊急につくり、財政措置をとること。

7、女性支援にもつながる施策―全額国庫負担でPCR検査拡大、全国一律のGoTo事業中止、倒産回避と雇用確保のためにも、雇用調整助成金や持続化給付金、家賃補助などの継続、国保・税金免除、消費税の緊急減税・免除、少人数学級、学費減免補助、失業手当給付額・期間改善、芸術・文化支援、農業価格補償、生活保護を生活保障としてとりやすくすることなど、国民生活を支える諸政策を実施、継続・強化すること。

 

要請文PDFはこちら↓ 

困窮する女性への年越し・生活支援の緊急対策を求めます ―緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」結果から―

 

 

緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」の結果について

2020年1125日  新日本婦人の会

1、調査の期間と方法

11月4日から1120日まで緊急募集

・新婦人しんぶん(週刊発行、20万部)紙上とグーグルフォームでよびかけ

 

2、回答者の属性

回答者 47都道府県358人  グーグルフォームで156人、ファクス・郵便・メールで202
    年代―30代、40代、50代で67%、60代、70代以上も
    働き方―非正規が43%、正規36%、自営、フリーランスも

 

 

3、内容の特徴

非正規雇用の女性は解雇や仕事減・収入激減がほとんどで、「女性活躍、雇用増」と言いながら調整弁として非正規を広げてきた問題が露呈。コロナ危機の長期化と12月支援打ち切りで生計がたたなくなっている。シングル家庭の苦境が際立つ。

<「声」から>

・解雇、住宅退去 売り上げが落ち解雇された。夫は病気、国保料減免を(製造業50代)、6月初旬パート全員が解雇予告を受けた(ホテル清掃60代)、発熱しコロナでなく感冒だったのに突然解雇、住居も退去させられた(派遣20代)、直接雇用扱いとなったものの12月で仕事が変わり解職に(大手コールセンター40代)、12月までは政府の補助金があるが、来年からはわからないと。ダブルワークを探している人も(空港売店パート)

・仕事急減で収入激減、借金 仕事激減で税金や国保料等支払い困難(サービス業20代)、7月末まで仕事なし(建設業50代)、3カ月間仕事がなかった(教諭60代)、出勤日数が激減(販売40代)、閉鎖の間、給料がなく、不安感でいっぱい(子育て支援60代)、教室の休みが多く収入的に苦しい(ピアノ講師40代)、出勤停止で、時給.日当で働く者は給料が減り、生活していけない、どうか生活保障をお願い(障害者就労支援40代)、仕事が休みになり給料保障なし(製造業40代)、蓄えがなく長期の無職状態(派遣50代)、年収50万円減(医療60代)、借金がふえるばかり(キャスト40代)、仕事に出られない日が増えると時給なので収入減、生活できない(生活支援員40代)

・危険作業も 使い捨て手袋がまわってこない(病院清掃60代)

・支援金不支給 シングルで2人の子育て、学校休校で小学校休業助成金制度できたが会社が使ってくれず、個人でも申請できるように(製造業40代)

・シングルマザーの苦境 消毒薬製造ラインがフル回転、非正規にもかかわらず深夜まで労働時間延長。子どもの面倒の手伝いにきた母も疲労、正規の見通しもなく理不尽(製薬会社40代)、1日2食が精一杯、再び学校休校なら給食だけは保障を(看護助手40代)

・ダブルワーク、夫婦とも非正規 ビル清掃と皿洗い、収入半減(清掃50代)、介護ヘルパーと宿泊施設パートのかけもち。インフルエンザ予防接種代も高くて受けられない(40代)、夫婦とも非正規で夫は賞与なしに。正規転換ルールも守られず、子どもの学費、奨学金返済、貯金なく不安つきず(飲食業50代)

・第3波 GoToで客足が増えるばかり、万一自分が感染したら不安(飲食業30代)、GoToイートで人員増も賃金増もなく、クタクタ、疲労困憊(寿司チェーン店40代)

・年金生活者も 試食販売の仕事が一番先に中止に。少ない年金、母娘で生活(70代以上)、スーパーなどでの試食販売の仕事、1日限りの派遣の仕事がなくなり、収入ゼロに。労働局から「直接メーカーの仕事でないので」と(70代以上)

 

正規雇用でも減収や在宅ワークの自己負担、さらに12月の支援切れによる雇用不安を訴え、とくに医療・保健・介護・保育などケア労働のエッセシャルワーカーで賃金・一時金カットが横行、緊張した労働強化が続き医療崩壊寸前、教育現場を含め疲労とストレスが蓄積している。また、自営業やフリーランスは直接支援なしでは生活できない状況となっている。

<「声」から>

・減収、雇用不安 取引先が廃業、経営悪化で大きな減収(事務員40代)、お客様にあえず契約の話もできず、クビになりそう(生命保険アドバイザー20代)、現在は政府の給付金で部分的に給料がまわなわれているが、来年1月なくなった後が不安(飲食30代)、コロナ理由の休みは有給使用、昇給なく、ボーナスもカット(事務職50代)、来年から雇用調整金がなくなれば雇用できないかもと言われている(調理20代)、4月入社、受注減少で出勤日減。手取り3万円減、14万円に。中小企業支援を(製造業20代)

・テレワークは自己負担 パソコン、通信環境、用紙、印刷などすべて自己負担(公務員50代)、テレワークは食卓で仕事。生活の場を奪われた。環境整備支援を(会社員30代)

・医療機関で一時金カット、全生活にストレス 発熱外来の受付で、緊張、疲弊、慢性的疲労が長時間続いている(医療30代)、病院の収入減でボーナス減額、家や車のローンがボーナス払いなので心配。防護服で熱い、動きづらい、人の話が聞きづらいとストレス大(看護師50代)、シングルマザーでコロナ患者を受け入れ大忙し、毎日帰宅が遅く、子どもや母に負担。精神的に不安定でいつも退職したいと思っている。ボーナスカット、一時的な給付金では、やってられない(看護師30代)、シングルで2人の子育て、ボーナスがなくなると、悲観的な思いばかりがよぎる(看護師30代)、マスク、ガウン不足、経営赤字でボーナスカット提案、このままでは患者増加に耐えられないのではと危惧(医療50代)、人一倍気をつけて生活、県外移動など行動制限、自粛生活が続いている(医療介護30代)

・保健所、いつ倒れるか 毎日残業で1カ月150時間こえ、毎日帰りは910時、土日も1日2日出勤、疲労困憊、いつ倒れるか、非正規の応援でなく、職員増員を(保健所30代)、訪問介護ヘルパー全員のPCR検査義務化を(訪問看護40代)、

・介護・福祉・保育・学童、密な職場で 定期昇給停止で生活費に影響(ケアマネージャー50代)、消毒作業、清掃で低賃金、慰労金5万円、もう少し光をあててほしい(介護施設・病院清掃60代)、保育園全体が密、最低基準を最高基準に(保育30代)、事業収入減、利用者の低い時給、工賃ほぼ半分に(障がい者福祉施設60代)、学童保育が密。遊び場や静養室がない。基準の適用を自治体に義務付けてほしい(放課後児童支援員40代)

・学校くたくた 子ども教員もくたくた。3密を避けろと言われても教室は密、20人学級に(小学校教員20代)、病弱な子に接する仕事、感染で命を奪いかねない(特別支援学校教員40代)

・自営業・フリーランス、廃業・見通しなし 客足8割ダウン(居酒屋50代)、宿泊客が減り、廃業を考えている。もう一度給付金を(旅館70代以上)、客激減、再度持続化給付金を(カフェ経営60代)、外食産業の需要減で米価下落、収入減、価格・所得補償を(農業40代)、教室休み、月万単位で減収、補助金なし(習字教室30代)、売上80%減で苦難の日々、1日も早い支援、芸術・文化予算増額を(映画配給の60代)、オンラインレッスンによる経費が支給されず(音楽教室講師20代)、給付金や補助金を頼る見通しのない生活。生活費なく借り入れで苦しんでいる。最低の生活費補助を(個人事業主50代)、

 

子育ての心配や介護などの負担の集中、家族の失業、家庭不和、単身者の孤独など、コロナうつ、疲労困憊、体調不良などを訴える例が多数あり、経済的にも精神的にも追い込まれている。

<「声」から>

・家庭も職場もギクシャク 感染予防に神経質になり、夫と不仲に(看護師40代)、夫がテレワークになり、毎日家にいるので、自由がなくなり、息苦しさを感じる(主婦40代)、発熱でもPCR検査を受けられず職場がギクシャク(保育士50代)、グループホームの利用者さん、ストレスがたまり、ささいなことで言い合いが(介護40代)、ボーナスカット5カ月が3.25に。在宅勤務で出費増、ぐちを言い合う機会が減って孤独感が増(コンサル業30代)

・コロナうつ、看取りうつ… 残業が続き、精神的にもバランスを崩し、軽いうつ状態になり通院、休職(大学教務40代)、義母・実母の介護で公務員を辞めざるをえず、母の葬儀をコロナで簡略、2度の喪失感に苛まれている。看取りうつに支援を(50代)、夫がリストラされ、これからが不安でたまらない(事務職40代)、自営でインストラクター、いきなりの解雇と同じ喪失感、かなりのダメージ、気軽にカウンセリングを受けられる体制を(体操教室60代)、3人の子育て、休校で初めてかぎっ子になり、心配で仕事を3日休んでトレーニング(正規30代)、コロナでリストラの対象となり離職、体調を崩し、失業保険でなんとか生活。母子家庭で、この先不安(無職50代)、コロナうつになりそう、PCR検査を全員に(60代)

・女性1人で生きられない 単身で非正規、休業や賃金カットが適用された。これ以上賃金減、雇用もいつ終了か、不安でギリギリの生活、窮迫状態です。税金や保険料減免など少しでも助けてほしい(一般事務50代)

・他、難病、就活、外国人実習生、免許返納… 難病で免疫抑制剤服用、感染が恐怖、一人親家庭で生活困窮(サービス業30代)、子どもの就活が大変、社会へ出る前に若者が潰される(自営40代)、外国人実習生が悲惨(不明)、免許返納したので公共交通機関利用が不安(70代以上)

 

PCR検査の遅れが女性の苦難を増大させており、検査徹底を望む声が圧倒的に多い。また、実情や願いとかけはなれた政府のコロナ対策(GoTo、アベノマスク、一斉休校…)への批判、生活を支える緊急支援の切実な願いが職種・働き方を超えて寄せられた。女性の困難を深刻にする非正規雇用化や社会保障削減、教育・ジェンダー対策の一日も早い転換の必要性が明らかになっている。

 

結果についてPDF↓

緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」の結果について

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