2010年5月20日 アクション

2010年 『新婦人春の行動』 特別企画・講演と交流ジェンダー平等社会へ

国連・女性差別撤廃委員会「勧告」をいかして

あなたの周りに、女性差別はありませんか? 男女平等と女性の地位向上の課題にとりくむ「新婦人 春の行動」(3月8日~4月10日)の締めくくりとして、4月24日、都内で開かれた“講演と交流”には、各分野からの実態や思い、多彩な活動が報告され、「ジェンダー平等の社会へ 今こそ」の思いを深めました。(詳細は「女性&運動」2010年7月号)

私たちがかちとった“総括所見”を使って差別なくしていきましょう

  ― 山下泰子さんが講演

「現在に至る原点には日本国憲法がある」と山下泰子さん

「現在に至る原点には日本国憲法がある」と山下泰子さん

2010年「新婦人 春の行動」特別企画には関東近県を中心に、会員や、男性を含む新入社員グループ、ライター、専門家など100人が参加しました。
高田公子会長の開会あいさつにつづき、「ジェンダー平等社会へのチャンス」と題して、山下泰子さん(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク・JNNC代表世話人)が講演しました。
女性差別撤廃条約は1979年に国連で採択され、85年に日本が批准して25年になります。昨年7月には、国連女性差別撤廃委員会で日本政府の第6次レポートが審議され、8月には日本に対する「総括所見」が公開されました。山下さんは、「総括所見は、60項目のうち48項目が懸念事項及び勧告となっており、包括的で大変厳しい内容です。これを学び、使って、女性差別をなくす力に。国も自治体も企業も従わなければなりません」と、その特徴を紹介。「今回新たに、2年以内の実施と報告を課せられたフォローアップ項目として、婚姻最低年齢など差別的条項が残る民法の改正と、雇用、政治、公的活動での女性の参加を引き上げるための暫定的特別措置の採用が要請されています」と述べました。

急がれる選択議定書の採択

選択議定書の問題でも山下さんは、「女性差別撤廃条約には、条約に反する事態が国内では救われない場合、国連の委員会に直接訴えることができる選択議定書がついています。主な先進国で批准していないのはアメリカと日本だけです。国連開発計画のジェンダーエンパワーメント指数57位(2009年)という、国際社会に大きく立ち遅れた日本の状況を劇的に変えるのがこの議定書です」と強調しました。
さらに、「外務省の人権人道課に人権条約履行室ができ、選択議定書の批准準備にあたるとのことです。人と予算をつけたことは一歩前進です。今年は、第3次男女共同参画基本計画の策定期です。男女共同参画会議が4月16日に公表した中間整理は、5年前にバックラッシュが渦巻き、ジェンダーという言葉を入れるか入れないかで大変な議論がおこったときとは違い、女性差別撤廃委員会の勧告を受けて、その課題にとりくむことも言及しています。政治状況は不透明ですが、私たちの行動が前進をつくりだしています。おかしいと思うことは勇気を出して声をあげ、こだわりつづけることが大切。粘り強く活動をつづけましょう」と呼びかけました。

草の根の活動交流で 元気を交換

「新婦人で人権を学び、目が開かれた」と発言する千葉・船橋支部の小林さん

「新婦人で人権を学び、目が開かれた」と発言する千葉・船橋支部の小林さん

運動交流では、17人が発言しました。

☆職場からも

学習を力に、仲間と一緒に勇気をだして、人権侵害や差別をなくすとりくみがひろがっています。
千葉・船橋支部の小林さんは、「会社に入った瞬間から女性差別を感じてきました。男性ばかりが昇進し、自分は能力がないと思い込まされました。営業ノルマが達成できないと、灰皿が飛んで来たり、どなられたり…。深夜まで働く職場では、女性は結婚、出産後に働きつづけられず、辞めると非正規しかありませんが、派遣でも残業40時間という働き方です。新婦人で人権を学びました。会社では意見を言ったことがなかったのですが、新婦人では“自分の思ったことを言ってもいいんだ”と、話し合いの力がつきました。仲間と活動をつくりあげていくのがすごく楽しい」と発言しました。
神奈川・港北支部の会員は、「自分の権利を知ることは生きる力に」と、月1回土曜日の夜、30~60代の働く会員が集まって、学習やおしゃべりで励まし合う“はたらく小組”の経験を紹介しました。

☆家庭内の平等も

笑いのあふれる明るい会議

笑いのあふれる明るい会議

「36歳で結婚、夫の姓を選択したら、“離婚したの?”と間違われた」と会場を沸かせた東京の会員は家庭内の平等について発言。「子どもが、窓ガラスを指でこすり“うちには主婦がいない”と言ったことで、家族会議を開きました。“なぜ、掃除や家事は主婦がやらなくてはいけないの?”と話し合い、洗濯は夫、食事は私、風呂掃除は子どもと家事を分担しました」と語りました。

☆地域からも

“女性会館はもったいない、逆差別だ”など、男女共同参画の先頭に立つべき行政や議会に無理解や逆行があることが、東京(立川市、練馬区)や埼玉、神奈川など各地から。会員が行動計画推進委員になったり、学習をすすめながら後退を許さず前進させている活動が報告されました。
民法改正に反対する意見書が議会に提出されるなどのバックラッシュの問題では、茨城の会員が常陸太田市と取出市で不採択に追い込んだ経験を。日本軍「慰安婦」問題では、早期解決を求めた国への意見書を採択させたとりくみを埼玉・上福岡支部が。選択議定書の採択を国に促す意見書運動を東京・港支部が、子宮頸がんワクチンの無料化を求めたとりくみを栃木・宇都宮支部が発言するなど、各地で活動が広がっています。
笠井貴美代副会長は、「女性の問題はなんと幅広く、奥深いか。大いにおしゃべりし、学びながら、男性も一緒に前進させていきましょう」と閉会あいさつしました。
 

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