新日本婦人の会は、3月10【要請】「東京電力福島第一原発事故から12年、 原発ゼロの決断と、国の責任で生活と生業の復興・再生へさらに支援を強めてください」を内閣総理大臣などに提出しました。
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
復興大臣 渡辺 博道 様
経済産業大臣 西村 康稔 様
兼原子力経済被害担当、
兼GX実行推進担当、
兼内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)
【要請】東京電力福島第一原発事故から12年、 原発ゼロの決断と、国の責任で生活と生業の復興・再生へさらに支援を強めてください
2023年3月10日
新日本婦人の会中央本部
会長 米山淳子
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から12年を迎えました。現在も福島県の発表で2万7000人超が県内外への避難生活を余儀なくされ、事故当時との比較では8万人を超える福島県民が故郷に戻れないままです。原発事故の原因究明も、事故収束も今なお見通せません。
政府は段階的に避難指示を解除しましたが、放射線量が比較的高く、将来にわたり居住が制限される「帰還困難区域」は東京23区の約半分の面積にもなります。避難が解除され戻られたみなさんの生活も、通院、買い物、仕事などさまざまな面で苦労が続いており、孤立と貧困がすすんでいます
こうした状況にもかかわらず政府は、ALPS処理水の海洋放出を今年春から夏頃に開始するとの方針を決定しました。これから少なくとも40年にもわたって放出し続けるというこの決定は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と福島県漁連と交わした約束を反故にし、農林漁業の各団体や生協連をはじめ、福島県内7割の市町村議会の「反対」や「慎重を求める」決議をも無視する暴挙で、許されません。私たちは海洋放出ではない解決策があると考えます。
避難を余儀なくされた住民などが起こした30を超える集団訴訟や、刑事裁判において、未だに国や東京電力を含め、誰も原発事故の責任を問われていないのは異常というほかありません。原子力損害賠償紛争審議会が「中間指針」の「第5次追補」を発表しましたが、不十分さが多く残され、「被害の実態にみあった賠償」を行うことが求められます。
2月10日、政府はエネルギー危機への対応、電気の安定供給、CO2削減等を「理由」に、これまでの方針を大転換し、原発の最大限活用、60年を超える危険な老朽原発の稼働容認、従来型や実績のない技術を前提にした原発の新増設などを盛り込んだ「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定しました。方針の大転換について、政府は先の国政選挙でも、国会でもまともに説明をせず、電力会社も加わるGX実行会議で決め、閣議決定したことは、民主主義に反する重大な問題です。ひとたび事故が起これば回復できない大規模な被害が発生する原発は動かすべきではない、というのが福島原発事故の教訓です。同方針を撤回し、原発ゼロへかじを切ることこそ必要です。
大型台風や記録的な豪雨など、温暖化による異常気象が相次ぎ、大地震や火山噴火、豪雪に加え、新たな感染症が懸念される中、今後5年間で43兆円もの米製兵器爆買いなどの軍備大増強はやめ、防災対策の強化や医療・福祉・教育の拡充、気候危機対策にもなる再生可能エネルギーの拡大へ抜本的な強化が必要です。
以下、強く要請いたします。
1、「GX実現に向けた基本方針」を撤回し、原発ゼロをただちに決断すること。2030年までに二酸化炭素排出を50~60%以上削減(2010年比)させ、2050年には再生可能エネルギー100%とする計画に改定すること。
1、東京電力福島第一原発事故処理費用は国と東京電力の責任とし、国民負担にしないこと。
1、ALPS処理水の海洋放出方針を撤回すること。地質・地下水の専門家グループが提案する「広域遮水壁」と「集水井・水抜きボーリング」を採用し、早急に汚染水の発生を大幅に減らす対策をとること。現在のタンクから、石油コンビナートなどで使用する大型タンクに移し替え、当面陸上保管とし、世界の英知を結集した解決方法を確立すること。
1、除染による汚染土壌の再利用は行わず、放射性廃棄物の最終処分は国が全責任を負うこと。
1、避難者と帰還住民一人ひとりの実情に応じた住まいの確保、生業の再建を支援し、住民が要望する場所や区域の除染をおこなうこと。また、医療や介護、商業施設、公共交通などのインフラ整備をおこなうこと。
1、原子力損害賠償は、時効を設けずおこなうよう法制化し、原発事故がなければ発生しなかった被害や損害はすべて国と東京電力が完全賠償すること。
※データは下記よりダウンロードできます
【要請】東京電力福島第一原発事故から12年、 原発ゼロの決断と、国の責任で生活と生業の復興・再生へさらに支援を強めてください