2023年3月17日 ジェンダー平等

【少子化問題解決への緊急提言】 ジェンダー平等施策を国際基準に抜本的に引き上げることを求めます

新日本婦人の会は、3月17【少子化問題解決への緊急提言】「ジェンダー平等施策を国際基準に抜本的に引き上げることを求めます」を発表しました。

 

 

 

【少子化問題解決への緊急提言】
ジェンダー平等施策を国際基準に抜本的に引き上げることを求めます

 

2023年3月17日

新日本婦人の会

 

 

 日本の少子化が加速し、2022年の出生数は過去最少の79万9728人となり、統計開始以来はじめて80万人を割りました。子どもを産むか産まないか、子どもをいつ、何人持つかはリプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)にもとづく女性の自己決定権です。しかし、それが保障されず、多くの若い世代が不安やあきらめを抱き、生きづらい、この国の現実にこそ、目を向けるべきです。将来に希望が見いだせず、子どもがほしくても産めない状況が広がっています。

 岸田首相は1月、「異次元の少子化対策」「子ども関連予算の倍増」などと打ち出し、具体策を3月末に取りまとめ、6月の「骨太の方針」で示すとしています。5月にはG7広島サミットが開かれますが、日本のジェンダー平等度(世界経済フォーラム)は、先進国とはとても言えない世界146カ国中116位で、サミット開催国としての資格が問われます。

 歴代の自民党政権は、新自由主義のもとで女性を「雇用の調整弁」として不安定で低賃金の非正規労働に追いやり、一方で過労死を招く長時間労働を野放しにしてきました。社会保障制度を次つぎと改悪し、家庭責任を女性に押しつけ、「ワンオペ育児」を強いてきました。この間のコロナ禍で女性の困窮があぶりだされ、さらに物価上昇が生活を直撃しており、対策が急がれます。

 日本の教育への公的支出はОECDの37カ国中最低レベルで、理想の子ども数を持てない理由のトップが「子育てや教育にお金がかかりすぎる」です。相次ぐ保育事故、急増する不登校や、深刻な教員不足、過去最多になった小中高生の自殺者数など、子どもたちが健やかに育つことが保障されているとはとてもいえません。子どもたちが未来に希望をもって成長できるよう、就学前保育や教育予算を国際的な水準まで引き上げることは急務です。

 少子化問題の解決のためには、大軍拡より子どもの権利条約や女性差別撤廃条約の批准国にふさわしい国際基準の施策とそのための十分な予算を確保し、ただちにとりくむことです。

 

 新日本婦人の会は以下、提言します。

 

コロナ禍での緊急支援をただちに

●シングルマザーや困難に直面している女性への緊急資金援助、欧米のように行政による食料支援制度を確立させること。

 

家族のケアと仕事を両立できる、実効あるジェンダー平等施策を

●女性が自立できる賃金の実現へ、男女賃金格差の解消のための罰則の法制化、ケア労働者の賃金の大幅引き上げをすすめること。派遣やパート労働者などを正規雇用化し、最低賃金を全国一律1500円以上にすること。

●仕事と家事や育児などを両立できるよう、男女ともに労働時間を短縮し、1日7時間・週35時間労働とし、残業規制を抜本的に強化すること。育児時短の対象年齢を広げ、看護休暇を拡充すること。産前産後休暇や育児休業中の所得補償を8割以上に引き上げること。

●ILOのハラスメント禁止条約を批准し、セクシュアル・ハラスメントやマタニティー・ハラスメントを一掃させること。LGBTQ差別禁止や同性婚など多様な性を認める法整備を急ぐこと。

●女性差別撤廃条約選択議定書の批准、選択的夫婦別姓制度など女性差別撤廃委員会からの勧告を実施すること。

●学校教育のなかで、包括的性教育をすすめること。

●ジェンダー平等を妨害してきた統一協会、その関連団体と政治との癒着を徹底解明し、一掃すること。

 

予算を倍加し子育て・教育費の経済的負担の軽減を

●教育予算を大幅に増やし、倍加すること。日本国憲法と国際人権規約(A規約13条項b及びc)が保障する教育無償化を実現すること。

●児童手当を18歳まで拡充し、児童扶養手当とともに所得制限をなくすこと。

●18歳までの子ども医療費無料を国の制度として確立し、小学生以上の窓口無料を実施している自治体へのペナルティー(国保国庫補助金の削減)を全廃すること。

●国民健康保険料(税)の子ども均等割を廃止すること。

●学校給食は無償とし、地場産、国産、有機食材の使用を推進すること。

●高額な大学等の授業料を半減し、入学金をなくすこと。奨学金は返済不要にすること。

●どの子にもゆきとどいた保育、教育を保障するために保育士の配置基準を改善し、増やすこと。保育所、学童保育所を公的責任で拡充すること。正規の教職員を増やして教員未配置をなくし、少人数学級を実現すること

 

 

※データは下記よりダウンロードできます

【少子化問題解決への緊急提言】 ジェンダー平等施策を国際基準に抜本的に引き上げることを求めます

 

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