新日本婦人の会は、8月24日、【抗議】「東電福島第一原発からのALPS処理水(汚染水)の海洋放出開始に抗議するとともに、ただちに中止するよう強く求めます」を岸田文雄内閣総理大臣、東京電力ホールディングス(株)へ提出しました。
内閣総理大臣 岸田文雄 様
東京電力ホールディングス(株)代表執行役社長 小早川智明 様
東電福島第一原発からのALPS処理水(汚染水)の海洋放出開始に
抗議するとともに、ただちに中止するよう強く求めます
東京電力は本日8月24日13時3分、福島第一原発敷地内のタンクに保管しているALPS処理水(汚染水)の海洋放出を開始しました。漁業関係者をはじめ多くの反対を無視して強行したことに満身の怒りを込めて抗議するとともに、現在と未来に深い禍根を残す海洋放出をただちにやめるよう強く要求します。
2015年、事故炉内で核燃料に直接触れて生じた汚染水を処理したALPS処理水について、政府と東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束しました。この重い約束さえ反故にし、海洋放出を強行するなど、民主主義国家ではありえません。岸田首相が全漁連会長との会談で「全責任をもって対応する」と豪語しましたが、「順調」に進んでも30年かかる「大事業」に、どうして岸田首相が責任をとれるのか、舌先三寸の発言にも怒りを禁じえません。
地元の福島県と全国の漁業協同組合連合会は「海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と今に至るまで繰り返し表明しています。原発事故後、地元の水産業者は海産物の汚染状況を調べながら、事業再建と復興を進めてきました。しかし今、沿岸漁業の漁獲量も原発事故前の2割です。ALPS処理水(汚染水)の海洋放出強行は、これまで地元漁業者が積み重ねてきた努力を台無しにするものです。
海洋放出に対して、中国政府は日本の全都道府県の水産物の輸入禁止を発表し、韓国では反対デモが起きています。フィリピン、インドネシア、ぺル―など太平洋沿岸諸国や島しょ国なども懸念の声を上げています。事故炉内で核燃料に直接触れて生じた汚染水の処理水を意図的に海洋放出し、しかも30年以上かかる事態は、これまで世界にないことです。日本政府が根拠としたIAEA(国際原子力機関)報告書は、こうした長期にわたる海の生態系や事業への影響評価はしていません。
福島第一原発1~3号機から溶け落ちたデブリを取り出すめどは立っておらず、今も地下水が原子炉建屋に流れ込み、高濃度の放射能汚染水は増え続けています。まず、これを止めなければなりません。
地質学の専門家らは対策として、集水井と組み合わせ、原発建屋をぐるりと広域に、地下35~50㍍までコンクリートの遮水壁で囲い、地下水の流入を防ぐ「広域遮水壁」建設を提案しています。さらに処理水の処分方法も、「モルタル固化」や、「タンクを増設し、放射能の低下や新たな処理技術の開発まで保管継続」を求める提案が出されています。しかし、東電も政府も真剣に検討せず、安い「海洋放出ありき」を強行したのです。海洋放出しなければ、そもそも政府が救済するという「風評被害」は起きません。
新日本婦人の会は、岸田政権と東京電力がこうした大問題と真剣に向き合い、ただちに海洋放出を中止し、真に適切な根本対策をとるよう、強く求めるものです。
●抗議送付先は下記のリンクをクリックしてください
岸田首相あて: 「首相官邸ホームページ」 の「首相官邸に対するご意見等」へ
東電社長あて: 「東京電力 ご意見受付」と検索(不当にも1000字しか受け付けず)
<郵送>〒100-8560 東京都千代田区幸町1-1-3
※抗議文は以下よりダウンロード可能です。
■東電福島第一原発からのALPS処理水(汚染水)の海洋放出開始に抗議するとともに、ただちに中止するよう強く求めます