核兵器禁止条約第2 回締約国会議(11月27日~12月1日)で、新日本婦人の会平野恵美子副会長・国際部長が発言しました。
議事11「条約の現状と実施状況、条約の目標と目的を達成する上で重要なその他の問題の検討:条約の目標と目的を達成する上で重要なその他の問題の検討:条約のジェンダー条項の履行」に関する討論での発言です。
第2回締約国会議での発言全文
2023年12 月1 日
新日本婦人の会
副会長 平野恵美子
議長、
発言の機会を与えていただいたことに感謝します。新日本婦人の会を代表し、発言します。
戦後の日本の女性運動は、侵略戦争の加害と原爆投下の痛苦の経験から、戦争放棄の日本国憲法9 条順守と核兵器廃絶を共通の目的に掲げて歩んできました。新日本婦人の会は創立以来61 年間、核兵器廃絶と戦争反対、ジェンダー平等を掲げ、全国の地域で活動しています。被爆者がよびかけた署名をはじめ、核兵器の禁止・廃絶を求め国連に届けた署名は16 72 万人分にのぼり、被爆者、世界の市民とともに核兵器禁止条約実現に貢献してきたと実感しています。
核兵器禁止条約は、核兵器が女性と少女に不均衡に大きな影響を及ぼすと指摘しています。被爆女性は、就職や結婚を断られるなど差別や偏見に苦しみ、流産や死産を繰り返したり、無事に出産しても自分自身と子どもや孫の健康への不安を一生抱えて生きています。ある会員は、「被爆者は死ぬまで被爆者」と訴えています。
広島の会員の被爆者は、「日本中の女性たちといっしょに核兵器廃絶の運動ができる」と心躍らせ、仲間たちと被爆体験集「木の葉のように焼かれて」を発行する中で、原爆を落としたアメリカへの憎しみを乗り越え、戦争は絶対にだめ、核兵器をなくす運動することだと気持ちが変わっていったと述べています。被爆者の勇気が私たちを励まし、ともに運動をする中でお互いにエンパワーしてきたと実感します。
新日本婦人の会は、被爆者が高齢となる中、次世代への継承を重視して、被爆証言を聞くつどいや原爆パネル展など、被爆の実相を広げる活動にとりくんでいます。数年前から、広島の高校生が被爆者の話を聞きながらいっしょに描き上げた原爆の絵の展示に力を入れ、各地で学校や図書館など公共の場での展示が広がっています。「平和教育の時間をとるのが難しくなっている中、ありがたい」と歓迎され、教職員や生徒もいっしょに準備をした高校もありました。展示を見た人たちはどこでも、子どもたちも含めて核兵器の怖しさを知り、「核兵器はなくしたい」などの感想を寄せています。この平和のとりくみの中で、ともに行動する次世代の会員も迎えています。
残念ながら、唯一の戦争被爆国の日本政府は、核兵器禁止条約に署名も批准もせず、この締約国会議にもオブザーバー参加さえしていません。しかし、日本政府に条約参加を求める署名は、141万人分を超え、新婦人はそのうち44 万5000 人分を集めています。核使用の危険が高まる中で、日本が議長国をつとめたG7 サミットが核兵器は必要と宣言したことに女性たちは怒り、「核兵器は絶対に使わせない」と熱い思いで行動しています。こうした女性の行動が、草の根から核抑止力論を打ち破る力だと確信します。
核兵器は、存在自体が人類と地球にとっての脅威です。この脅威を取り除く唯一の道は、核兵器を廃絶することです。今日本では、この会議に連帯し、日本政府に条約参加を求める署名を集めながら、「核兵器も戦争もノー」と全国で行動しています。1 日も早く核兵器のない世界を実現するために、ともに力を合わせていきましょう。
ありがとうございました。
発言全文は下記よりダウンロードできます