新日本婦人の会は、3月22日、【談話】「離婚後共同親権の民法改定案は廃案に 人権を守るための家族法制へ抜本的に転換を」を発表しました。
【談話】離婚後共同親権の民法改定案は廃案に 人権を守るための家族法制へ抜本的に転換を
2024年3月22日
新日本婦人の会
会長 米山淳子
岸田自公政権は、離婚後に、共同親権を原則とする民法改定案を異例の速さですすめようとしています。親権にかかわる家族法制改定は77年ぶりで、本来、子どもの権利条約などの批准国にふさわしく、抜本的な転換が必要です。
改定案は家父長制の影響を残し、離婚後の子どもや元配偶者への関与を強化する内容で、とりわけDV被害者にとっては、離婚後も加害者から支配され、時には命さえ脅かされかねません。
離婚後に共同親権となれば、進学や就労先の選択、医療、居所などの子どもに関することについて常に連絡と同意が求められることになります。医療現場からは「不仲で同席できない両親に『説明、同意をえる』ことは、適時適切な医療の実現の妨げになる」「訴訟を避けるために医療行為を控えざるを得なくなる」との声が上がっています。
「養育費を支払わせることができる」「離婚後も子どもに会えるようになる」などとの主張もありますが、それは親権とは別で、現行制度でも可能なことです。今回の法案には養育費の強制徴収のしくみは入っていません。
父母で合意できない場合は、家庭裁判所が判断するしくみですが、司法の現場からは、すでに「抜本的な人的・物的体制整備が不可欠。離婚をめぐる事件がさらに複雑・困難になる」との懸念が表明され、制度を導入する土台すら整っていません。
導入を求めてきた人たちの中心には、疑似DVなどと攻撃し、DV被害を軽視してきた人が少なくありません。女性の地位が低い日本の現状では、不本意でも共同親権を受け入れざるを得ない、DVの証明ができず裁判で共同親権を命じられてしまう、「子連れ別居」が違法と判断されるなどの可能性があります。加害者に、被害親子の住む場所への同意や日常的な判断のたびに、関与の手段を与えてしまうことになります。
1人ひとりの国民の人生と家族に大きな影響を与える法改定であるにもかかわらず、その内容が知らされず、国民的な議論のないまま進めることは許されません。現法案は廃案にして、子どもの権利条約に則り、子どもの保護と養育への父母と社会の責任について抜本的な検討こそ求められています。
※データは以下よりダウンロード可能です。
【談話】離婚後共同親権の民法改定案は廃案に 人権を守るための家族法制へ抜本的に転換を