2022年2月22日 大会・中央委員会決定

創立60年 新日本婦人の会第30回全国大会決定

 新日本婦人の会は、1月23日(日)、創立60年第30回全国大会をオンラインで開催し、大会決定、特別決議を採択しました。

 

平和の原点いまこそ、9条改憲ノー、核兵器廃絶を
ジェンダー平等、気候正義、持続可能な社会へ
創立60年、要求実現さらに、みんなの力で大きな新婦人を

 

第1章 激動の情勢と創立60年の新婦人の役割

 「みんなのたたかいの中から平和な未来が生れる新しい太陽がのぼる」(平塚らいてう)―新日本婦人の会(新婦人)は2022年10月19日、創立60年を迎えます。内外の大激動のなか、その役割はいよいよ大きくなっています。

 

1、コロナ危機、社会システムを見直す転換期に

 新型コロナウイルスの世界的大流行は、559万人(1月23日)もの命を奪い、このままの社会や政治でよいのかと大転換が迫られています。貧困と格差の是正、富裕層への課税と最低賃金の大幅引き上げ、気候危機の克服や飢餓ゼロ、ジェンダー平等、核兵器のない平和で公正な社会をと、これまでのシステムの根本的見直しを求める女性や市民の運動が高まっています。 

 「未来を奪うな」「気候正義を」と世界中の若者たちが声をあげ、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP(コップ)26)は、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるために、2030年までの温室効果ガス削減目標引き上げをよびかけ、脱石炭に踏み出しました。「だれ一人とりのこさない」を理念に、17の目標すべてにジェンダー視点をつらぬくSDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)も達成まであと8年です。

 2021年1月22日の核兵器禁止条約発効は、史上はじめて核兵器を違法とし、廃絶への新たな力となっています。批准国は59カ国、署名国は86カ国(22年1月現在)となり、アメリカと軍事同盟(NATO(ナトー)を結ぶノルウェー、ドイツも22年3月に開かれる条約第1回締約国会議にオブザーバー参加を決定しました。核不拡散条約( NPT(エヌピーティー))再検討会議でも、核保有国に厳しい目が向けられます。

 世界各地で人種差別反対の運動や人権意識の新たな高まりのなか、過去の植民地支配の責任を問い直し、謝罪や賠償、略奪品返還などへ動きだしています。

 

2、強権政治を推し進める岸田政権

 安倍元首相と菅前首相が続いて政権を投げ出し、岸田政権はソフトさを装いながら、さらに危険な政治をすすめています。
 自公政権の失政のもと、新型コロナの感染拡大が繰り返され、東京五輪・パラリンピックの強行で、感染爆発、医療崩壊を招き、さらに感染力の強い変異株が爆発的に広がっています。コロナ禍で医療や公衆衛生、保育や介護など社会保障の脆弱(ぜいじゃく)さとともに、非正規やケア労働など女性の低賃金や自殺の増加、DV(ディーブイ)や性暴力の多発など、根深いジェンダー問題があぶりだされています。

 それにもかかわらず岸田政権は、「新しい資本主義」を看板に、新自由主義路線をいっそうすすめています。検査や医療体制の強化、生活困窮者や事業者支援はそっちのけで、大企業への手厚い支援、社会保障の連続改悪、古い家族観を押し付け、組織改変に問題をすり替える「こども家庭庁」、デジタル庁の設置とマイナンバーカードで医療や教育をはじめ企業利益に個人情報を収集・利用するためのデジタル化を推進しようとしています。自由貿易推進と結びついた物価の高騰、米価の暴落、
食料自給率37%に何ら対策を取っていません。気候危機打開でも削減目標が低く、原発事故の教訓も震災復興もおきざりにしたまま、原発の再稼働や老朽原発の期限延長、石炭火力の新増設・輸出をすすめるなど、世界の流れに逆行し、自ら国力の衰退を招いています。

 重大なのは、衆議院選挙後、3分の2以上の議席を確保した自民党や公明党、維新の会が岸田首相を先頭に9条改憲への危険な動きをつよめ、新たな局面を迎えていることです。

 中国と北朝鮮の脅威をあおりながら、「敵基地攻撃能力」の保有へと公然と踏み出し、沖縄・辺野古新基地建設や南西諸島への自衛隊ミサイル部隊配備、軍事費倍増などの大軍事化によって、アメリカと一緒に「戦争する国」づくりに突き進んでいます。米軍由来の新型コロナ感染拡大、相次ぐ事故や事件への対応など、国民の命より「日米同盟」を優先する政治に怒りが広がっています。教科書から日本軍「慰安婦」の記述を削除するなど、侵略戦争と植民地支配の加害への反省もなく、「解決済み」と相手を非難することは許されません。

 また唯一の戦争被爆国の日本が、核兵器禁止条約の署名・批准を拒(こば)み、アメリカの先制不使用の政策採用にまで反対しています。こうした新自由主義と軍事化路線は、賃金格差や女性国会議員比率1割以下など男女平等度156カ国中120位という異常な遅れをもたらし、復古主義と結びついた女性蔑視(べっし)発言、選択的夫婦別姓への妨害となっています。
 「森友・加計・桜」疑惑の国政私物化、「政治とカネ」の解明にも背を向け、日本学術会議の任命を拒否し続けていることも大問題です。

 

3、創立60年、憲法が生きる新しい政治を

〈女性・市民と野党の共闘前進こそ〉

 政権交代めざし、新婦人が会をあげてとりくんだ2021年10月の総選挙は、野党が候補者を一本化した選挙区の59で勝利し、多くの選挙区で僅差(きんさ)に追い込んだのは、野党共闘があったからこその成果です。自公政権や維新などによるメディアも総動員した野党共闘や共産党への攻撃は、いかに共闘を恐れているかのあらわれです。
 市民連合と4野党が合意した20の共通政策は、平和、暮らし、ジェンダー、民主主義など、自公政治を根本から転換する内容が盛り込まれた国民への公約であり、ここに憲法が生きる新しい政治への展望があります。
 改憲が争点の一つとなる7月の参議院選挙で、市民と野党の共闘をさらに発展させ、自公政治を終わらせる新たな流れをつくりましょう。
 沖縄返還から50年の年、名護市長選挙(1月)と秋の県知事選挙に勝利し、軍事ではなく、憲法9条を生かした外交への転換を迫りましょう。

 

〈新しい「あたりまえ」の時代を〉

 コロナ禍のもと、新婦人は女性の「困った」の声を自治体や国に届け、つながる工夫、努力をつよめながら、オンラインの活用にも挑戦してきました。切実な要求で運動し、女性たちのよりどころとなり、新婦人しんぶんで全国をつなぐ新婦人の存在価値が輝いています。ジェンダー平等と核兵器廃絶で、世界の女性たちと連帯する国連NGOの役割が大きくなっています。
 創立60年を迎える新婦人は、女性の願い、悩みもよろこびも持ち込める会として、草の根から声をあげ、結婚退職制の廃止や子どもの医療費無料化をはじめ、たくさんの「あたりまえ」「新しい常識」をつくってきました。それは、女性のあらゆる要求をまとめた「五つの目的」をもち、日本のすみずみに班や支部をつくる努力をしてきたからです。会の目的は、日本国憲法と重なり、SDGsなど世界の流れと合致(がっち)します。この新婦人が大きくなることが、いまほど求められているときはありません。

 そしてなによりも、戦前、人権もなく、声もあげられなかった痛苦の体験をもつ女性たちが、「戦争は絶対ダメ」との思いで新婦人を結成し、「憲法改悪に反対、軍国主義復活を阻止します」をかかげ、「平和なくして平等なし」の決意で歩んできました。日本国憲法をめぐる重大な情勢の今、創立の原点に立ち、日本の女性の力をあつめ、必ず改憲をくいとめましょう。
 創立60年へ、①総力をあげて改憲を阻止する、②運動し仲間を増やす、③選挙で変える、に会をあげてとりくみましょう。

 

第2章 コロナ禍の2年間の活動

1、各分野の運動

(1)「困った」で声をあげる

〈検査、ワクチン、社会保障も〉

 検査の徹底やワクチンの拡充、医療体制の充実を求め、各地で行動しました。妊婦や介護施設職員全員へのPCR検査、費用の自治体独自補助、コロナ相談窓口の設置など、命を守る成果をあげました。公共施設へのWi-Fi(ワイファイ)設置や会場使用料の減額なども実現しています。
 コロナ禍での公立・公的病院の再編統合・病床削減や75歳以上医療費2倍化、短時間勤務保育士の導入への怒りと共同行動が広がっています。子ども医療費助成の拡充がすすみ、国民健康保険料の子どもの均等割を廃止する自治体も生まれました。「消費税減税でコロナ対策を」と4・1一斉アクションや毎月24日行動に共同でとりくみました。

 

〈40年ぶりに少人数学級が前進〉

 学校一斉休校での「困った」をキャッチし、教育委員会や学校へ要請、子どもたちの発達や安全を保障した行事の実施や休校中の給食、熱中症対策などを迫りました。ICT((アイシーティ)情報通信技術)化によって小中学校に一人一台端末が配備され、「大丈夫?」とカフェやアンケートにとりくみました。「密」にならない少人数学級を求めて、全国各地から署名と意見書採択などの運動で、40年ぶりの法改定で35人学級へと動かしました。

 

〈困窮女性への支援、生理用品常備を〉

 緊急女性アンケート「コロナ禍での仕事の『困った』の声」で非正規やシングル、子育ての実態を告発し、困窮する女性たちへの米などの食料支援&相談会が各地で広がっています。小学校休業等対応助成金の個人申請も実現しました。
 「トイレットペーパーのように生理用品常備を」「この問題こそ新婦人で」と班や支部から急速に広がった運動が、メディアでも報じられ、「生理タブー」を打ち破る力となっています。

 

〈署名も成果も最多に〉

 コロナ禍の2020年「秋の行動」3署名は60万人分、前大会後に国会や首相・大臣へ提出した署名は総計247万にのぼります。要求運動の成果も、20年は全都道府県から延べ747支部78班1245項目、新型コロナ関連が56%を占め、「秋の行動」署名と運動の成果数は2010年以来最多でした。
 バリアなくす運動では、公共交通の充実を求めて実態アンケートにとりくみ、道路の白線や通学路のウオッチングが広がり、補聴器の公的補助を求める共同の運動もすすんでいます。

 

(2)平和の2署名すえ、原爆の絵展も

 人分を集約し、新しい「憲法改悪を許さない全国署名」も始まり、ヒバクシャ国際署名は最終140万人分となり、日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める署名も全国で100万をめざしています。
 改憲発議ノー署名用紙を再度、会員・読者に届けたり、5・3憲法記念日(21年)の全国紙への意見広告も歓迎されました。憲法条文を載せた紙面を活用するしんぶんタイム・カフェもとりくまれました。

 日米両政府へ辺野古新基地建設反対などの声を届けるハガキ運動をすすめ、オスプレイ飛行中止と配備撤回を求める全国緊急署名も広がっています。
 核兵器禁止条約が署名のはずみとなり、また国民平和大行進など創意と新たな挑戦も生まれました。2年連続でオンライン開催となった原水爆禁止世界大会と核兵器なくそう女性のつどいは、かつてない参加で学び合い、被爆75年へ47都道府県本部がタペストリーをつくりました。国際共同行動「平和の波」では、班からの申し入れで地元のお寺や教会での「平和の鐘」つきが広がり、広島の高校生が描いた「原爆の絵」展が、学校や公的施設で日常的にとりくまれています。

 

(3)「#(ハッシュタグ)わきまえない女」の多様な行動

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の女性蔑視発言に、「#わきまえない女」として声をあげ、全国の抗議で辞任に追い込みました。性暴力告発やLGBTQ(エルジービーティーキュー)差別禁止を求める当事者の運動に連帯しています。班やジェンダーカフェでクイズやカルタ、しんぶんを使ってのおしゃべりが広がり、ジェンダー署名(選択的夫婦別姓制度など民法改正、女性差別撤廃条約選択議定書批准、日本軍「慰安婦」問題解決、所得税法56条廃止、雇用の正規化)をすすめる力にしてきました。地方議会意見書運動も大きくすすみました。
 新婦人学校「女性史・ジェンダー編」(『女性&運動』4号)は、「日本の遅れのおおもとがわかった」と歓迎され、学習が広がりました。

 

(4)環境問題を各分野から、産直運動をと

 気候危機打開へ会をあげて署名にとりくみ、世界気候アクションにも参加しました。気候変動やプラスチックごみ問題を学んでおしゃべり、エコグッズづくり、みんなで海岸清掃、スーパーや行政への要請にも踏み出しています。
 カフェや班会で地域防災を考え、避難所のチェックやアンケートで要請、避難所や防災無線の改善なども実現しています。大災害のたびに多くの救援募金や基金が寄せられ、被災自治体や会員・読者に届けました。

 原発再稼働反対のイレブン行動や住民投票にとりくみ、東電福島第一原発事故による「アルプス処理水」(汚染水)の海洋放出決定に各地から抗議しています。
 オンラインで産地とつないだ田植えや稲刈り、家族農業の10年やネオニコチノイドなど農薬問題の学習、種苗(しゅびょう)法改悪反対の署名を広げました。「給食に県産小麦のパンを」のとりくみが注目され、米飯給食回数を増やす成果もありました。
 新婦人と農民連の産直運動30年を迎え、さまざまな問題や課題がありながらも、「4つの共同目標」(別掲)や全国交流会の開催を機にあらたな活動が広がり、「お米を食べて」「SDGsと結んで」「チラシで」など、各地で産直会員が増えています。

 

〈新婦人と農民連の産直運動4つの共同目標〉

1、私たちは、安全でおいしい国産の農畜水産物を作って食べて、日本の食料自給率を向上させ、家族の健康を守り、食文化を次世代へ継承します。
2、私たちは、お互いの顔と暮らしが見える交流を活発にして、持続可能な地域社会と農業の担い手づくりをめざします。
3、私たちは、気候危機を乗り越え、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に大きな役割を果たす家族農業が大切にされる社会への転換を求め、食料主催の確立をめざします。
4、私たちは、お互いの組織の発展に貢献する産直運動をめざし、定期的な協議をおこないます。

 

(5)みんなで選挙、共同行動も

 衆議院選挙では、選挙クイズをはじめ新婦人しんぶん特集を使った班の選挙タイム・カフェ、SNS(エスエヌエス)活用も広がりました。「これからのエチケット」を大切に、「私の願いと私の推(お)し」を聞き合って、後援会活動の自由も保障しました。各地の首長選挙では、カジノを中止させた横浜市長選挙をはじめ、要求実現へみんなが参加してとりくみました。維新が2度にわたって強行した住民投票で、大阪市廃止をきっぱりと否決しました。
 市民連合や総がかり行動実行委員会、革新懇をはじめ各分野の共同行動にも力を入れ、日本母親大会in沖縄はオンラインを生かし成功しました。

 

2、仲間づくりと組織活動

〈班のよさを再確認〉

 班会や要求別小組(サークル)が開けないなか、「こんなときこそ」と手づくりマスクや絵手紙を届け、ニュースで会員の様子を交流したり、小さな単位で、外で、オンラインでなど、感染対策をして集まる工夫も重ねました。健康・体操関係の小組がよろこばれ、身近に仲間がいる、よりどころの班のよさが再確認されています。
 「困った」の声に「何かできることから」と、「一班一要求行動」も注目され、班から運動が広がっています。
 職場班では、忙しいなか、昼休みやオンラインでの何でも話せる場が歓迎され、班会や学習・行事に職場の女性を誘って会員を増やす粘りづよい努力がされています。

 

〈しんぶんがよく読まれ力に〉

 コロナ禍で、新婦人しんぶんは休刊(1回)や合併(2回)、4ページ建て(4回)を余儀なくされましたが、全国の多くの人に支えられ、発行を続けてきました。
 「自粛生活のなか新婦人しんぶんが頼り、楽しみ」とよく読まれ、選挙特集や創立記念号、仲間づくり特集号も活用され、おしゃべりすることで政治が身近になるなど、行動や入会につながりました。また、「読者を会員に」と意識的にとりくまれています。
 しんぶんの発行を2021年1月より木曜日から土曜日へと変更し、「配達に余裕ができた」と歓迎されています。小組で集まれないなか、配達も「小組で」から「地域」へと分担し直したり、高齢によって困難になった配達・集金を、みんなで話し合って手分けした経験も生まれています。

 

〈仲間づくりの新しい工夫、課題〉

 SDGsに重ねた運動と成果を入れたチラシに学び、コロナ禍だからこそ新婦人をまるごと知らせようと、この2年間で班や支部から1982万枚が配布され、ポスターも各地でつくられました。
 行動する会に共感し、楽しい小組で会員を迎えています。小組は、静かに集中する書道や生け花、屋外で例会、小組体験会を作品展に変えて、また原爆展と一緒になど工夫し、仲間を迎えました。初心者向けスマホ小組など、新たに1118小組が発足しました。
 SNS上でよびかけた「#新婦人に入ろう」に応えて、各地で「私も何かしたい」「ジェンダーについて学びたい」と入会や問い合わせが相次いでいます。「この地域にも新婦人を」と、6支部107班が新たに誕生しています。
 コロナ禍の制約もあり、大きく仲間を増やすとりくみができず、高齢化による退会で会員が減っていることなど、課題の解決が求められています。

 

〈委員会がオンラインに挑戦、集団つよめて〉

 この間、援助金も活用してオンラインに挑戦、都道府県本部委員会や支部委員会、班活動交流会や仲間づくりの推進会議などにとりくみ、遠方からでも参加できると新しい可能性が生まれています。
 都道府県本部対象のオンライン全国交流会はこの2年間で10回開かれ、経験を直接学び合う機会が増え、支部や班への援助、「がんばる人だけの活動ではなく、班からみんなで」と学ばれました。
 委員会活動では「10歳若く」と、常任委員会を退職者や週1回事務所に来られる人などで集団を太くし、方針としんぶんを大切に、班とのパイプをつよめている支部、また「いきなり若い世代はむずかしいけど」と働く現役世代の集まりを重ねることで若い世代の入会にもつなげ、支部や班の新しい担い手が誕生している貴重な経験が生まれています。

 

第3章 女性の願いをあつめ、憲法いかす政治に

1、改憲発議ゆるさず、核兵器禁止条約参加を、選挙で変えよう

(1)改憲発議ノーを多数世論へ、草の根の大運動を

○改憲はアメリカと一緒に戦争する国づくり、9条にそった平和外交こそが必要なことを学び、改憲反対全国署名を広げ、多数の世論をつくりましょう。そのため、戦争体験者をはじめ、どの世代も「〇〇だから、私は改憲に反対します」と、自分の思いを大切に発信します。班・小組の憲法タイム・カフェ、自宅への宣伝掲示、路地や街頭での宣伝・署名、スタンディングやシール投票でアピールし、SNSでも大拡散しましょう。
○辺野古の新基地建設をはじめ、全国の基地強化と軍事化を中止させましょう。オスプレイ配備中止・撤回、日米地位協定の見直しを求める意見書運動にとりくみます。自衛隊への子どもの勧誘をやめさせましょう。

 

(2)条約批准署名をすすめ、被爆の実相ひろげて

○核兵器禁止条約批准署名を一気に集め、自治体での意見書採択もつよめて、日本政府に条約参加を迫る世論をさらに高めましょう。8月の原水爆禁止世界大会と核兵器なくそう女性のつどいに、若い世代の代表派遣をつよめましょう。女性平和基金も活用して、海外の女性たちとの連帯をすすめます。
○原爆パネルや高校生が描いた「原爆の絵」の公的施設での日常的な展示、オンラインも活用した被爆者の話を聞くつどいや、絵本や映画などで被爆の実相を学び、広げましょう。

 

(3)日常的に暮らしと選挙を語って、公正なメディアを

○「これからのエチケット」をもつ会として、要求と政治、政党の公約とその後を、しんぶんタイムや運動のなかから、日常的にチェックし、班や小組で話し合い、みんなで発信しましょう。
○参議院選挙での野党共闘と政党選択、自治体選挙を、要求実現のチャンスとしてとりくみます。班や小組などで政党選択での「私の推し」を大いに語り合い、党派別選挙は後援会活動の自由を保障します。
○メディアに、憲法や選挙などで公正な報道をと要請・抗議し、よい番組や報道には激励をしましょう。女性の政治参加促進へ、小選挙区制度を廃止し、パリテ(男女同数)やクオータ(割り当て)制の導入など、多様な民意を反映する選挙制度の抜本的改革を求めましょう。

 

2、憲法を土台にすえ、各分野の運動の飛躍を

(1)税金はコロナ対策、社会保障、暮らしに、消費税は5%へ

○検査体制や保健所を拡充し、医療崩壊を再び起こさない体制の強化、生活困窮者への支援金、事業者への持続化給付金の支給、医療機関の減収への補填(ほてん)など経済支援をさせましょう。
○75歳以上の医療費窓口負担2倍化、消費税を財源とする病床削減、介護制度改悪を中止させ、保育所の人員配置や面積の基準改善を求め、署名や共同をつよめましょう。
○各地の共同行動で、公共交通の拡充、補聴器の公的補助などバリアをなくすとりくみをすすめましょう。
〇生活や環境を壊し、税金の無駄遣いとなる大型開発のカジノ誘致、リニア建設、新幹線延伸、ダム建設を中止させましょう。
○「消費税はいますぐ5%」「インボイス制度は中止を」と署名や宣伝など共同行動で知らせましょう。

 

(2)ジェンダー平等、女性の権利を国際基準に

〇ジェンダーカフェや学習でおしゃべり、ジェンダー視点やリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の立場で気づいたことから声をあげましょう。生理用品のトイレ常備あたりまえになるまで、地元の学校や自治体、国に要請していきましょう。
〇ジェンダー4署名に賃金格差解消・雇用の正規化を加えた5署名や、地方議会での意見書採択にとりくみましょう。
〇8時間働けば普通に暮らせる社会をめざし、ケア労働者やエッセンシャルワーカーの待遇改善、時給1500円の全国一律最低賃金制度の確立など、女性の賃金の底上げへ声をあげていきましょう。
〇同意のない性交は犯罪とする刑法性犯罪規定の抜本的改正、LGBTQ差別禁止法、同性婚法、包括的ハラスメント禁止法の実現へ声をあげていきましょう。
〇あらゆる意思決定の場に女性を積極的に登用するよう、働きかけましょう。
〇新婦人春の行動(3月8日国際女性デー~4月10日女性参政権行使の日)を日常的なとりくみの力とし、テキスト「女性史・ジェンダー編」(新婦人学校)で、広く学習をつよめます。

 

(3)今こそ気候正義、原発ゼロ、産直運動の前進を

○国への気候危機打開署名を積み上げ、石炭火力、原発再稼働を許すな、原発ゼロをの声を広げましょう。先進例に学び、地域に根差した新電力設立など再エネ拡大、住宅の高断熱化など省エネ推進の助成などを国や自治体に申し入れましょう。プラごみやフードロス削減を一人ひとりがとりくみ、スーパーや企業にも要請しましょう。
○ハザードマップで避難経路や時機を班会やカフェでおしゃべりし、避難所への段ボールベッドや温かい食事、女性の視点を生かした運営マニュアルの改善などを申し入れましょう。
○アグロエコロジーなど、自然と調和した持続可能な農業生産と消費、浪費型ライフスタイルの転換を学び、力にしましょう。暴落する米の買い取り、アメリカ押しつけのミニマムアクセス米の輸入中止、家族農業守れと国に求め、自治体にも生活困窮者への食料支援を申し入れましょう。
〇ネオニコチノイド系農薬禁止を求めるとともに、ゲノム編集など食の安全の学習と運動にもとりくみましょう。
○食料自給率向上、安全な国産食料の確保へ、今こそ産直運動を広げましょう。「4つの共同目標」にいつも立ち返り、オンラインでの学習や産地との交流も魅力に、若い世代をはじめ会員みんなによびかけ、チラシも活用して産直会員を大きく増やしましょう。

 

(4)子どもの声をまん中に、権利条約いかして

○子どもの権利条約の視点で、質の高い保育、教育の充実を国や自治体に求めましょう。安全な通学路、生理用品のトイレ常備、制服選択制導入、人権侵害の校則の見直し、不登校やヤングケアラー問題、痴漢被害の対策、包括的性教育、学力テスト中止など、学校訪問や教育委員会への要請をおこないましょう。国に18歳までの子ども医療費無料制度の創設、窓口無料のペナルティ全廃を求めましょう。
〇教育費の負担軽減や、償還払いとなっている給食費や修学旅行費の就学援助を改善させ、少人数学級の前倒し実施、一方的な学校統廃合をやめることを国や自治体へ求めましょう。「一人一台端末配備」は公費で、過度な使用で発達や健康面など、子どもや教職員への負担が生じないよう求めます。学校給食の完全実施、米や小麦、野菜など地産地消、国産食材の使用、無償化を求めましょう。
〇教科書への「従軍慰安婦」や「強制連行」の記述の削除や侵略戦争の美化を許さず、採択に教員や保護者などの意見が反映されるよう、展示会を広く知らせ、審議の公開などを求めましょう。

 

3、どの運動でも会員を迎えて

○宣伝や要請などに、まわりの女性を誘ってともに行動し、その場で「願い実現のために、会員になって」と必ず訴えましょう。学習を大切にし、講座や〇〇カフェ、学習会をSNSなどでも広く知らせてとりくみ、会員に迎えましょう。

 

第4章 女性のよりどころの新婦人、班からみんなで大きく

1、班活動をゆたかに

(1)生きいき大きな班へ―5つのポイント

①班会―会員みんなに知らせて毎月開催、誕生会や歓迎会など工夫して
②要求―おしゃべり・つぶやき・願いを運動や○○カフェ、要求別小組に。平和の活動を大切に
③新婦人しんぶん―しんぶんタイムで読んで、紙面で増やして、みんなで配達集金
④仲間づくり―いつも運動やつながりで、チラシやSNSで知らせ、目標もって。意識して若い世代を
⑤班運営―みんなで役割分担、班委員会で相談、班ニュースの発行、オンライン活用も

〇創立60年にむけ、基礎組織の班が5つのポイントの一つひとつにとりくみ、地域や職場で女性たちのよりどころとなりましょう。

 

(2)とくに大事にしたいこと

〇みんなのつぶやきや「困った」の声、要求を出し合って運動や多彩な小組にとりくみ、憲法・選挙カフェをまわりの女性を誘って旺盛に開きましょう。みんなの「できること」「やりたいこと」で活動に参加する人を増やしましょう。
〇しんぶんタイムを班会や小組で位置づけ、1分スピーチなどで聞き合っておしゃべりしましょう。
〇「新婦人いまこそ大きく」とみんなで仲間づくりを話し合って班目標を持ち、勧めたい人を出し合い、宣伝紙を使って「ご一緒に」と、会員に迎えましょう。班や支部の運動も入れたチラシやポスター、SNSで知らせましょう。
〇職場班は、集まっておしゃべりを大事にし、とくに医療や介護、保育などケアの職場で仕事や悩みを自由に出し合って、働き続ける仲間の輪を広げましょう。

 

2、委員会は班とともに行動、大きな新婦人に

(1)交流し励まし合って仲間づくりの先頭に

〇委員会は、班や支部の活動を学び合える交流会をオンラインでも開き、SNSなどで情報を共有して活動をすすめましょう。さまざまなテーマ、すすんだ経験や悩みを聞くなどのオンライン交流を都道府県本部で、ブロックで、全国で工夫して開催します。
〇「次世代との並走」と仲間づくりを委員会の中心課題にすえ、仲間づくり目標をもって、19日~25日全国連帯仲間づくり期間にとりくみ、毎月前進にこだわりましょう。どの世代も10歳若い人をと意識し、会員にも、委員にも迎えましょう。
〇委員会は二つの役割「①要求実現と仲間づくりの先頭に立ち、②班を援助する」を大切にし、複数の次世代や退職者など新しいメンバーも迎え、委員会の体制をつよめましょう。空白の自治体への班・支部づくり、女性が多く手がかりのある職場での班づくりに挑戦しましょう。機関紙活動は配達・集金の現状をつかみ、改善している経験を学び合いましょう。機関紙活動も入れて改訂する『委員会活動の手引き』を学び、活用しましょう。
〇委員会は創立60年へ新婦人学校(新婦人の歴史と活動編、女性史・ジェンダー編)を繰り返し開き、冊子『女性&運動』も大いに活用しましょう。

 

(2)財政活動をさらにつよめて

〇会員一人ひとりの会費が活動を支えていることを確信にし、会費納入袋を活用し、毎月納入できるようとりくみましょう。財政計画をたて、班からみんなで仲間をふやして、財政を確立しましょう。
〇寄付(カンパ)は、会員一人ひとりの自主性を大切にし、さまざまな運動と結んでとりくみましょう。友愛の被災者救援募金と救援基金にとりくみましょう。

 

(3)SNS本格活用、ホームページ刷新

〇SNSの本格活用へ、どこでも講座をおこない、カラーチラシや宣伝画像の作成、オンラインアンケート活用など活動に生かせるようにします。
〇中央本部のホームページは新婦人を広く知らせ、仲間づくりに役立つものに刷新します。

 

第5章 会をあげて次世代とともに未来へ

〈私たちには力がある〉

 この2年間、「つどう・つながる☆次世代交流会」をオンラインで2度、5回に分けて開き、のべ900人が参加しました。モヤモヤを言葉に、「困った」の声をあげる、「選挙で変える」「新婦人ってすごい。私たちには力がある」を共有しました。SNSを使った東京五輪の学校連携観戦中止を求めるオンライン署名や、学校、保育園、生理などの「声をきかせて」アンケートで、生の実態を示して国や自治体を動かしました。行動に当事者を誘い、直接体験する中で入会者も迎えています。
 オンラインの活用で、これまで活動に参加できなかった働く会員や子育て中の会員の参加も広がり、「Zoom(ズーム)おしゃべり会」「学校ゆるカフェ」「モヤ晴れ」など、「短時間でも集まって、学んで、しゃべる交流」が新たな活動スタイルとなっています。

 

〈多彩な小組で出会いとつながる努力〉

 コロナ禍でも各地の赤ちゃん、親子リズムやヨガ、英会話、畑などの小組が、オンラインで、野外でと工夫して開かれ、再入会や人との関わりを求めての入会が相次ぎました。気候危機や食などしんぶんを使ったミニ学習や、〝卒業〟後もおしゃべりカフェで同世代とつながるなど、小組を入り口に、ともに行動する仲間になっています。

 

〈並走する委員会に学ぶ〉

 次世代といっしょに動き出した委員会の特徴は、次世代を複数で委員会に迎え、同世代が活動を相談する場をつくっていること、委員会が定期的に次世代会議をおこなっていることです。「若い人はいない」という委員会も、点在する次世代によびかけて全国の次世代交流会への参加をきっかけに、感想を聞いて「できることを一緒に」「委員になろう」とよびかけています。「困った」をキャッチして要請行動につなげたり、運動も仲間づくりもSNSで発信するなど、新しい発想で委員会に活
気が生まれています。
 創立60年へ、会員を大きく増やし、新婦人をつなぐ次世代との並走に会をあげてとりくみ、未来へともにつないでいきましょう。

 

(1)交流と直接体験がカギ

〇自由にしゃべって学んで交流する場をオンラインも活用して、県でも支部でもさまざまにつくりましょう。しんぶんを読んで、性教育・ジェンダー、憲法、気候危機、選挙を身近に引き寄せて語り合うカフェなど、ゲストも誘って「平日夜の1時間で」「少人数で」など工夫し、気軽にとりくみましょう。
〇「あれ?おかしいな」を大切に、声をあげ、「ホントに変える」直接体験に挑戦しましょう。
〇SNSを活用し、共通の願いでつながって、新婦人を知らせましょう。
〇仲間づくりをみんなで話し合い、入会のきっかけや「入ってよかった」など、経験を交流し、小組やつながり、SNSで「新婦人に入ろう」とよびかけましょう。
〇次世代の活動を直接学び、語り合う、全国の「つどう・つながる☆次世代交流会」を開催します。

 

(2)委員会は次世代との本格的な並走へ

〇次世代を都道府県本部委員や支部委員に思い切って複数で迎え、同世代で相談できる場をつくりましょう。SNSのグループ機能で情報を共有し、若い世代の声を聞くことを大事に、活動をともにすすめましょう。
〇自治体要請や学校訪問に、当事者世代を必ず誘うことを意識しましょう。
〇委員会は、点在の会員、子どもや孫、そのつながり、親子リズム小組の元会員や読者などを出し合って、場づくり(小組やカフェ、交流会)と合わせて、会員をどう迎えるか、仲間づくりを相談しましょう。委員会は次世代会議を開きましょう。全国の次世代担当者会議も開きます。

 

 

【特別決議】

憲法施行75年、全力で9条改憲を阻止しましょう

 日本国憲法が施行されて75年の今年、9条改憲を許さないたたかいが正念場を迎えています。植民地支配と侵略戦争でアジア・太平洋地域の人々に惨害を与えた反省から、二度と戦争はしないと誓った憲法9条は戦後日本と女性運動の原点であり、他国に先駆けて紛争は話し合いで解決するとした、世界に誇る宝です。
 岸田首相は任期中の改憲実現を公言し、就任後初の通常国会での施政方針演説でも「積極的な議論」を期待すると呼びかけるなど、前のめりです。衆議院で改憲勢力が3分の2の議席を占めるもと、改憲発議をおこなう憲法審査会が本格始動するなど、危険な動きに拍車がかかっています。
 岸田首相らがめざす自民党改憲4項目の真のねらいは9条改憲です。9条に「実力組織として自衛隊を保持する」と明記し、自衛隊を海外でアメリカといっしょに戦争する軍隊に変えることです。また、緊急事態条項を創設して、コロナ禍や自然災害を口実に「緊急事態」を宣言すれば、個人の権利
や自由の大幅な制限・侵害を可能にします。中国や北朝鮮の軍事行動は許されませんが、その脅威をあおって「敵基地攻撃能力の保有」や米軍・自衛隊の新基地建設や機能強化、過去最大の軍事費など大軍拡路線をすすめるなどあってはなりません。東アジアの軍事的緊張を高め、沖縄や南西諸島などを巻き込む戦争につながりかねない、重大な動きです。
 そもそも憲法は国民が権力をしばるためのもので、改憲が必要かどうかを決めるのは国民です。75年間、憲法を一度も変えていないのは、戦争放棄の9条をはじめ労働者の基本的権利、社会保障や教育を受ける権利、男女平等など世界で主流になっている人権のすべてを満たしている憲法を国民が支持してきたからです。総選挙後の世論調査でも、改憲を求める声は少数です。
 安保法制(戦争法)反対のたたかいを機に市民と野党の共同が発展し、全国で署名や宣伝など草の根のとりくみで世論を高め、改憲の企てを押しとどめてきました。
 創立60年を迎える今年、新婦人の総力をあげて9条改憲を阻止しましょう。新しい「憲法改悪を許さない全国署名」を、5月3日の憲法記念日をめざし、一気に積み上げましょう。「戦争はぜったいだめ」「地球を守りたい」「ジェンダー平等を」など自らの思いで憲法を語り行動する人の輪を広げ、平和の仲間を大きく増やして改憲の動きをはね返しましょう。市民と野党の共闘をさらに発展させて、7月の参院選挙で改憲勢力を少数に追い込みましょう。

 

 

2022年1月23日
新日本婦人の会
 第30回全国大会

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