新日本婦人の会は9月3日、第186回中央委員会をオンラインで開き、以下の決定と特別
決議を採択しました。
創立60年の新婦人、大きく
カルト政治一掃、改憲ノー!
何よりもいのち、平和とジェンダー平等へ
一、激変の情勢と新婦人の役割
「だれ一人とりのこさない社会を」「核兵器のない平和で公正な世界を」―草の根から声をあげ行動し、政治をタブーとせず、社会を動かす新婦人は10月19日、創立60年を迎えます。
いま、かつてない自民党の行きづまりと底知れぬ闇があぶりだされています。
新型コロナ第7波のもとで過去最多の感染者数と1カ月あたり最多の死者数、183万人(8月29日現在)もの自宅療養を招く医療崩壊、暮らしと生業(なりわい)を苦しめる物価高騰、深刻さを増す女性と子どもの貧困、豪雨による甚大な被害など、いのちが脅かされる事態に、政府は無策のまま、軍事費6兆円、原発再稼働・新増設などを推し進めようとしています。
さらに、安倍元首相の銃撃・殺害事件(7月8日)を機に噴き出した自民党などの政治家と反社会的カルト集団・旧統一協会(世界平和統一家庭連合)との癒着(ゆちゃく)が、日本政治の根幹を揺るがしています。政治家が「票と人」をあてに広告塔となって被害を拡大させ、旧統一協会の政策関与も指摘されています。東京五輪をめぐる汚職と腐敗を含め、山積する課題を議論する国会も開かず、憲法違反の国葬(9月27日)を強行する岸田政権の支持率は、内閣改造後に急落しています。
7月の参議院選挙で改憲派が国会で議席の3分の2以上を占めたものの、改憲を求める世論は少数です。しかも、自民党の改憲案は、極右団体「日本会議」や旧統一協会の政治団体・国際勝共連合の9条改憲、緊急事態条項創設、個人よりも家族・家庭重視と酷似(こくじ)しています。こうした勢力が選択的夫婦別姓や同性婚を執拗(しつよう)に妨害し、男女平等度146カ国中116位(2022年)という日本の異常な遅れの一因となっています。「改憲なんてとんでもない」と攻勢的に世論と運動を広げ、断念させる時です。
ウクライナ侵略戦争は長期化し、惨状を極めています。核兵器禁止条約が生きた力を発揮し、第1回締約国会議、原水爆禁止世界大会、核不拡散条約(NPT)再検討会議でも、「核抑止力論は破綻(はたん)し、核兵器は廃絶しかない」と多くの国々と市民社会が、ロシアをはじめ核保有国と日本政府を追いつめています。
岸田政権の敵基地攻撃能力保有や軍事費2倍化などの危険な動きに対し、「軍事対軍事ではなく、憲法9条による平和外交を」と運動が世論の変化をつくっています。沖縄県知事選(9月11日投票)では、「台湾有事」など戦争につながる辺野古新基地建設に反対、経済発展と貧困対策を掲げるオール沖縄の玉城デニー候補再選へ、現地と連帯し、全国から支援をつよめています。
東京・杉並区長選挙(6月)で、福祉や公共サービスを削ってきた新自由主義でなく、公共をとりもどそうと女性候補が区民、野党7党と力をあわせ、自公系現職を破ったことが、注目されています。来年3月、4月の統一地方選挙は、暮らしをはじめ、ジェンダー平等、原発ゼロ、気候危機打開など持続可能な社会へ、地域から声をあげ、大軍拡と改憲をすすめる自公政権と維新の会などに審判を下すとともに、旧統一協会と関係をもつ首長や議員はいらないとの意思を示す重要な選挙です。
「社会が目の前で壊されていくのを黙っていられない」「60年、声をあげ続けてきたことはすごい」―新婦人は、ともに一歩を踏み出す女性たちの希望となっています。この会をつよく大きくすることが、今ほど求められているときはありません。10・19創立60年記念仲間づくりビッグデー10・22記念のつどいをめざし、さらにそれをステップに、「①総力をあげて改憲を阻止する、②運動し仲間を増やす、③選挙で変える」(第30回全国大会決定)のとりくみをつよめ、次世代とともに、班からみんなの力で運動・仲間づくりを大きく前進させましょう。
二、185中委後の活動のまとめ
〈国葬やめよ、核兵器なくせ、多様な要求で行動〉
新婦人は、安倍元首相の国葬中止のスタンディングやシール投票、弔意(ちょうい)強制反対の申し入れ、旧統一協会との癒着疑惑の解明を求める議員や政党要請に各地でとりくんでいます。
「戦争反対」「核で脅すな」と新婦人憲法リーフを使った宣伝や国民平和大行進をすすめながら、平和の2署名(憲法署名20万、条約批准署名36万)を集め、広島の高校生の原爆の絵・パネル展を広げています。お寺の鐘つきなど平和の波行動にとりくみ、班や支部から願いを書いたペナントを被爆地へ届け、広島・長崎現地開催とオンラインでの原水爆禁止世界大会と核兵器なくそう女性のつどいに積極的に参加して、運動の力にしています。ウクライナ支援募金は2800万円を超え(9月1日現在)、国連機関に届けています。
ジェンダー5署名39万人分、高齢者医療2倍化中止署名を国会に提出し、介護労働者の処遇改善緊急団体署名を厚労省へ出しました。生理用品の設置、公費負担で給食費値上げ中止、道路の白線引き直しや公共トイレに手すりなど、各地で要求を実らせています。
〈タイム・カフェで自分ごとの選挙に〉
参院選挙特集を使った「しんぶんタイム」、太田弁護士DVDや憲法リーフも活用した「憲法と選挙タイム・カフェ」が、班や小組でかつてなくとりくまれました。おしゃべりから暮らしと政治や選挙が結びつき、宣伝デビューなど一歩前進が広がりました。
次世代は、「戦争止めたい」「政治を自分ごとに」「選挙で変える」「仲間をふやす」の思いやモヤモヤを出し合い、学び交流する場をオンラインでもちました。
〈コロナ禍で仲間づくり、班活動改善〉
コロナ禍が続くなか、感染予防対策をしながら、仲間づくりをすすめてきました。その特徴は、国葬や旧統一協会問題で「こういう話がしたかった」と入会、「つながりたい」と身近な読者や知人が会員に、チラシで知らせて多彩な要求別小組(サークル)で、また「新婦人に入ろう」とのSNSの訴えに入会が相次いだことです。
60年おめでとう班会などで班が活気づく一方、組織基本調査では維持が困難な班や支部があることも見えています。班解散の相談で集まったら、おしゃべりが楽しいと再出発したり、「この町でスタンディングをしたい」と班を結成するなど、貴重な経験も生まれています。
〈みんなで築いた組織、つないでさらに〉
創立から60年、みんなの力で仲間を増やして班や支部を一つひとつつくり、毎週の新婦人しんぶんを手分けして配達・集金し、全国に根を張った今日の新婦人を築いてきました。
「この会をなくすわけにはいかない」「憲法が危ない。今こそ大きく」「次世代に引き継ごう」と、班や支部をつなぐ努力が強められています。高齢や病気、転居などで「配達が困難になる前に」と、会員・読者マップをつくって新たな担い手を増やし、班が元気になっています。
三、改憲ストップ!創立60年をステップに一歩前進を
(1)班から改憲阻止、運動・仲間づくりを
○60年記念の班会を開き、「がんばってきたね」と話し合い、10・19仲間づくりビッグデー、10・22のつどいで、すべての班が新会員を迎え、前進する年にしましょう。小組で憲法や新婦人60年をテーマに作品をつくり、チラシやポスター、SNSで、また、新しい入会申込書、特設ホームページや動画も活用して、新婦人を知らせましょう。誘いたい人を全国で紹介し合いましょう。
○班会・小組でのしんぶんタイムや「憲法と選挙タイム・カフェ」で、国葬やカルト政治、私の「困った」などをおしゃべりし、平和の2署名で対話、改憲阻止へ行動しましょう。軍事費2倍化反対、税金は暮らし、福祉、教育にと2022年新婦人「秋の行動」3署名を来年2月の国会に積み上げます。地方選挙を切実な要求実現のチャンスにしましょう。
○どの班でも会員・読者マップで配達・集金の現状を見直し、「1部、2部なら」と担い手を広げましょう。
(2)委員会は地方選挙すえて、班援助を
○委員会は、要求実現と仲間づくりの先頭に立ち、会員や班の一歩前進を励まし、ともに行動しましょう。班の活動や悩みを直接聞きあって学び合う班活動交流会を工夫して開催しましょう。それぞれの60年記念行事も仲間づくりの前進のなかで成功させましょう。
○来春の地方選挙を見すえ、学校給食無償化と地場産・有機農産物使用、学校統廃合や都立高校入試英語スピーキングテスト導入の中止、公立病院統廃合と病床削減中止、子ども医療費助成の拡充、国保料引き下げと子どもの均等割廃止、介護保険料の引き下げ、上下水道の保全、公共交通の維持、リニア新幹線中止、生理用品の設置、選択的夫婦別姓制度の意見書採択、カジノ中止、原発ゼロ・石炭火力廃止、再エネ・省エネ支援、非核平和政策など、各地の実情に合わせて争点に押しあげましょう。党派別選挙では「私の推(お)し」と政党を大いに語り合い、後援会活動の自由を保障します。
○組織基本調査をもとに前進面や課題、「この班をなくしたくない」「大きくしたい」という思いや可能性も出し合い、班とともに会員を増やしましょう。次世代対策を具体化し、10歳若い会員を意識して迎え、点在の会員や読者も手がかりに班や支部の結成・再建にとりくみましょう。「女性&運動」11号を使った新婦人学校を開きましょう。
(3)次世代につなぐとりくみを本格的に
○モヤモヤや願いを出し合えて行動できる新婦人、「あなたも会員に」と身近な次世代に率直に訴えましょう。
○「オンラインしんぶん読む会」や日ごろの思いや悩みを出せる場づくりを、できるところからゲストも誘ってとりくみましょう。
○全国ミニ交流や、次世代対策全国交流会議(9月22日)を開きます。
【特別決議】
旧統一協会と政治の癒着の徹底解明と一掃で日本の民主主義の回復とジェンダー平等へ
旧統一協会(世界平和統一家庭連合)と、自民党を中心に首相を含む閣僚や国会議員、地方議員らに広がる癒着関係が、安倍元首相の銃撃・殺害事件後に次つぎ明るみに出ています。政治の闇の解明に背を向け、旧統一協会との関係を深めた張本人・安倍元首相の国葬を強行する岸田政権の支持率は急落しています。
旧統一協会は女性分野も含め数多くの関連団体を傘下に置き、霊感商法や多額の献金、集団結婚で、家庭崩壊や人権侵害などの深刻な被害を生み出している反社会的カルト集団です。毎年日本から韓国に数百億円が送られ、教祖・文鮮明一族の生活遊興費、世界各地での資産買収や活動の原資となり、日本の政治家対策にも使われています。
ビラまきやポスター貼り、電話かけなどの選挙ボランティア、議員秘書に信者を送り込むなどの見返りに、議員が集会での講演や祝辞などで旧統一協会にお墨付きを与え、被害を拡大させてきました。閣僚や議員らの「旧統一協会とは知らなかった」「つきあいで祝電を送っただけ」などの弁解は許されず、自らの問題を明確にすべきです。旧統一協会がなぜ2015年8月に急に、世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合に名称変更できたのか、解明が求められます。
旧統一協会が政治部門として創設した国際勝共連合は、沖縄の選挙を含め各地で手段を選ばない反共・謀略活動をおこない、国政選挙で野党共闘を壊す急先鋒となった日本労働組合総連合会(連合)会長は勝共連合仕込みの教育を受けていたと報じられています。自民党や政権の悪政を後押ししていることも問題です。勝共連合は、「スパイ防止法制定、集団的自衛権の行使、ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止、選択的夫婦別姓制度や同性婚合法化の阻止」などと掲げ、平和とジェンダー平等を妨害してきました。「こども家庭庁」新設のさい、「家庭」を入れるよう求めたのも彼らです。
岸田政権を先頭に改憲に前のめりのなか、自民党の改憲案との一致ぶりが注目されています。旧統一協会=勝共連合は、中国や北朝鮮の挑発行動、大規模地震、同性婚合法化の流れなど情勢の変化をあげて「憲法改正」の必要性を強調し、憲法に緊急事態条項の新設、家族保護の文言追加、「自衛隊」の明記をと主張しています。こんな改憲を、ぜったいに許すわけにはいきません。
日本の政治を根幹から歪める大問題に対し、各党の真剣な調査、国会での徹底解明、旧統一協会の「宗教法人」見直しや被害者救済などが急ぎ求められます。安倍元首相の国葬は、中止すべきです。日本の民主主義の回復とジェンダー平等のために、全国から声をあげ、運動していきましょう。
2022年9月3日
新日本婦人の会
第186回中央委員会