新日本婦人の会中央本部
1、地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向 ①意義、基本的な方向について
(1)意見の公募方法について
「総合確保方針」作成には、「医療又は介護を受けるべき立場にある者」の意見を反映するとありますが、厚労省のホームページ上のみでの告知で、しかも2週間という短期間では「意見を聞いた」と形だけの手続きにしようという意図は明らかです。このように非民主的なやり方で医療・介護総合改悪法を施行することは許されません。医療・介護総合改悪法は廃止すべきです。
(2)医療・介護総合改悪法は廃止すべきです。そのいくつかの理由
①そもそも医療・介護総合改悪法は、医療・介護の根本にかかわる19本もの法案を一括審議衆議院28時間、参議院27時間しか論議せず、国民の声を全く無視して強行採決されたものです。しかも国会審議の中に、一定以上の所得者の「介護サービス利用料2割引き上げ」が可能とした「根拠データ」の間違いが明らかとなり、厚労大臣が撤回するという前代未聞の法案です。「聖域なき」削減として、社会保障費の自然増すら削り、「患者の自己責任化」とこの分野の市場化をすすめるために、医療・介護制度の根本をこわすものであり、断固として廃止を求めます。
②介護では、特別養護老人ホームへの入所基準を要介護3以上に限定、要支援1、2の家事援助やデイサービス国の介護給付からはずして市町村に丸投げ、一定所得以上の人の介護サービス利用料を2割にしようとするものです。市町村への移行は「不可能」「判断不可」とした自治体が7割を超えたという調査もあり、210もの自治体から反対の意見書が出されています。なんらの解決策もなく実施することは、「介護難民」をますます増大させるもので、許されません。
③医療では、すでに公立病院などで大幅な病床削減がおこなわれ、入院が困難になっています。それにもかかわらず、「地域医療ビジョン計画」を都道府県に作成させ、病床削減をはじめとした医療費を徹底的に削減させようとしています。すでに、「地域医療ビジョン計画」のもとになる「病床機能報告制度」のあり方が検討され、医療機関からの報告を国が管理する全国共通のサーバーに直接報告させようとしているなど、患者追い出しの病床削減を国が率先して推し進めるものであり、認められません。
④「総合確保方針」の作成にあたっては、医療法、介護保険法が基本となるとしています。しかし、その医療法の条項は「良質かつ適切な医療を効率的に確保を図る」(第三十条の三の第一項)と明記され、「病床削減」などを目的としていません。介護保険法も「保険事業に係る保険給付の円滑な実施」(第百十六条第一項)とあり、介護支援の内容や対象を縮小・改悪するものではありません。
⑤憲法第25条が保障する「国民の生存権、国の社会保障的義務」を放棄し、社会保障を破壊する医療・介護総合改悪法の廃止を強く求めます。
【パブリックコメント】地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)への意見