新日本婦人の会中央本部
1、パブリックコメント以前の問題として、電力会社は再生可能エネルギー特別措置法(2012
年施行)の固定価格買い取り制度で太陽光、風力など再生可能エネルギーでつくられた電気の買い取りが義務づけられたにもかかわらず、「需要を上回る再生可能エネルギーが集まった」などの理由で一方的に買い取りを制限したことは許されません。買い取り制度導入後、再生可能エネルギーが急増することは世界の常識であり、政府が原発再稼働をねらう電力会社まかせで受け入れ態勢を整えることもせずに、電源に占める比率わずか2%で、この事態を招いた責任は重大です。政府と電力会社は「保留」をすみやかに解除し、買い取り制度のさらなる前進へ、再生可能エネルギー導入の高い目標を決め、「優先給電」ルールや電力系統の整備・運用に関する公正・中立な規制機関の設立などを急ぎ、整備事業者・関係者の損害の回避など緊急措置をとることこそ必要です。
2、「新たな出力制御システム」をつくるとして、「太陽光発電・風力発電に係る接続ルール見直し」が提起されていますが、これは特別措置法の趣旨に反しています。太陽光発電・風力発電に対する出力制御の対象範囲の見直しは、実質的に「太陽光発電の見直し」です。これは社会的にひろく深刻な事態をもたらすものであり、やめるべきです。
3、「出力制御」の根拠として、新エネルギー小委員会系統ワーキンググループ(第3回)資料「再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法」では、「原子力、地熱、水力はベースロード」とし、東電福島原発事故以後稼働ゼロであるにもかかわらず、原子力供給量を震災前過去30年間の設備利用履歴や現在建設中の原発まで見込んで計算しています。こうした「算定」を原発再稼働を企てる電力会社におこなわせ、その不当な数値をもとに「接続可能量」を算定することはありえません。「接続可能量」はただちに撤廃してください。
4、「出力制御」については、どういう事態になった場合に、どこがどうおこなうかが明記されていません。欧州諸国では独自の機関が管理運営し、「抑制する」ことになった場合は補償があります。もし、「出力制御」が必要になる場合があるとしても、各電力会社がおこなうのではなく、政府の責任で独自の機関を設置し、条件や補償について明確に定めるべきです。
5、電力システム改革が現在進められていますが、この省令案等にはまったく反映されていません。家庭用電気の自由化へ、地域支援型再生可能エネルギーの普及・拡大、発送電分離を含めた電力完全自由化の中立性・独立性、情報公開の徹底、運営の審議機関への市民参加のしくみをつくり、利用者の声を反映できるようにすべきです。
【パブリックコメント】資源エネルギー庁の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する 特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等に関する意見