新日本婦人の会中央本部
○第2章 食料自給率の目標
【食料自給率・自給力について】
国民は食の安全、自給率向上や供給、価格の安定を望んでいます。他の先進国と比較しても低い自給率目標(カロリーベース 50%)を下げるべきではありません。また新たに提案されている「食料自給力」は非現実的な条件での数字であり、日本の危機的な農業の現状を見誤らせるものです。現実に生産され、率として示される食料自給率を向上させることに力を注ぐべきです。
○第3章 食料、農業および農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策
1、食料の安定供給の確保に関する施策
【食品の安全と消費者の信頼の確保、国産農産物の消費拡大について】
国産農産物の海外市場への販路拡大を重視し、国内には安い外国産品を輸入することで食料を確保するという構図では、自給率向上は望めません。価格保障、所得保障で生産者が生産を続けられる施策を拡充することとあわせ、消費者が選択でき、国産の消費拡大に貢献できるよう加工食品や外食での原料原産地表示を早急に義務化してください。そのためにトレーサビリティ体制も義務化してください。
【総合的な食料安全保障の確立について】
昨秋の米価は生産費も賄えないほど暴落し、直接支払交付金の半額削減もあり、大規模米作農家でも打撃は深刻です。再生産が不可能な事態では、主食の米さえ供給や価格が不安定となります。国の責任で米の需給調整を行ない、備蓄米は100万トン以上とし、不測の事態に備え、需給安定にも活用してください。超古米を備蓄米とせず、入れ替えた米は加工用とし、アクセスミニマム米輸入は止めてください。麦、大豆、飼料用作物の自給率向上の施策を講じてください。
【国際交渉への対応について】
十分な食料を生産し国民に供給していくことは、政府の基本的な責務です。しかし政府は関税撤廃を目指すTPP(環太平洋連携協定)交渉を進めています。TPP参加によって日本の農林漁業が壊滅的打撃を被ることは政府の試算でも明らかで、多くの国民が望む食料自給率向上、安全な食料の安定供給に逆行します。TPP交渉から撤退し、日豪EPA(経済連携協定)をはじめ、日本の農業を衰退させるEPAやFTA(自由貿易協定)も進めるべきではありません。
2、農業の持続的な発展に関する施策について
農林水産業は国民の命や地方経済、国土保全を担う基幹的産業です。農業政策では中山間地が多い地理的条件のなか「家族農業」を中心に据え、地域の特性に応じた農業支援の施策を行い、大小多様な農家経営を数多く維持することを求めます。また、新規就農者には、国、地方自治体、地域が一体となった長期的、きめ細かな支援を行なうことを求めます。国連が昨年を「国際家族農業年」、今年を「国際土壌年」と定めたように、農業は地域に密着し文化、環境、コミュニティを支える営みでもあり、地域から選ばれた農業委員会の意向を尊重し、企業の農業参入は規制し、農地取得に道を開くことは止めてください。
【パブリックコメント】新たな食料・農業・農村基本計画についての意見