新日本婦人の会 会長 笠井貴美代
フリージャーナリストの後藤健二さんが2月1日、過激武装組織「イスラム国」によって、湯川遥菜さんに続いて殺害されたとの報せに強い衝撃を受けています。人の命をもてあそぶ残忍非道な蛮行は断じて許されません。怒りをこめて糾弾します。ご家族の悲しみはいかばかりでしょう。心よりお悔やみ申し上げます。
後藤さんが命がけで伝えようとしたのは、紛争で犠牲となる女性や子どもたちの姿であり、戦争のない社会を願うメッセージでした。安倍首相が、この機に乗じて、「邦人救出」の名で自衛隊の海外派兵の拡大をねらい、米軍などによる空爆への参加まで合憲と発言し、集団的自衛権行使のための戦争法の制定など「海外で戦争する国」づくりへとつきすすむことは絶対に許されません。こうした軍事に走る対応は、憎悪をさらにひろげ、戦後70年にわたって憲法9条が築き上げてきた日本への中東や世界の信頼を一挙に壊して、日本人をテロの恐怖にさらす、危険きわまりない道です。
今すべきことは、国連を中心に国際法に基づいて過激武装組織への外国人参加と資金源や武器のもとを断ち、孤立させ、解体へと追いこむことです。また、日本政府が2人の拘束情報を早くからつかみながら最悪の事態を招いた経緯、国際原則に照らしての「人道支援」の内容、殺害警告の口実とされたカイロでの首相演説と中東軍事外交の問題など、この間の対応を徹底して検証し、国民に明らかにすることが必要です。
新日本婦人の会は、憲法9条に基づく日本の役割の発揮こそが、テロも戦争もない世界、異なる宗教や文明の平和的な共存、貧困と格差のない世界の実現への道になると深く確信し、決意あらたに草の根からいっそう運動をひろげていきます。