内閣総理大臣 安倍晋三 様
外務大臣 岸田文雄 様
新日本婦人の会
会長 笠井貴美代
ロシアのプーチン大統領が昨年のクリミア半島への軍事介入・併合にいたる過程で「核兵器の使用を準備していた」と発言したことに驚き、衝撃をうけています。自国の領土拡大に核兵器を利用するなどというのは、もはや「抑止」ではなく、「脅し」です。新日本婦人の会は、直ちにロシア政府に対し、抗議をおこないましたが、日本政府こそ、断固抗議すべきです。
いま、核兵器の廃絶を求める声は、世界の圧倒的な世論に発展しています。今年4月の核不拡散条約(NPT)再検討会議を前に、国連総会では核兵器禁止条約の交渉開始や2010年NPT会議の合意実行を求める決議が圧倒的多数の賛成で採択され、核兵器の非人道性を告発し、廃絶を求める動きが広がっています。
しかし、核保有国は核兵器を「抑止力」、自国の「安全の保証」などと主張し、「核兵器のない世界」の実現を正面から議論することに反対しています。この壁を打ち破らなければなりません。
こうしたなかで日本政府の態度が問われています。世界で唯一、原爆の被害を体験した日本は、核兵器のない世界を達成するうえで特別に大きな責任と役割があるからです。
報道によれば、オーストリア政府が国連全加盟国に配布した核兵器禁止をよびかける文書に対し、日本政府が賛同を見送る方針を固めたこと、さらに事前に「核の傘」への影響を懸念する米国から「賛同見送り」の働きかけがあったとが明らかになりました。これが事実ならば、日本政府が、被爆者が体験した「核兵器の非人道性」の立場にたつうえで、「核の傘」論への固執が最大の障害となっており、この克服が急務となっていることを改めて示しています。
新日本婦人の会は、被爆70年の今年こそ、日本政府がロシアへの抗議と、オーストリア政府提案の賛同への賛同とともに、「核の傘」と決別し、NPT再検討会議において、核兵器全面禁止条約の交渉開始をよびかける行動の先頭に立つことをつよく求めるものです。