新日本婦人の会中央本部
新日本婦人の会は、4月17日経済産業省資源エネルギー庁あてに「『原発ゼロ』、省エネ・再生可能エネルギー中心にエネルギ-シフトし、温暖化対策抜本的強化の温室効果ガス削減目標を求めます」と意見を提出しました。その後、委員会でどのような論議が進められ、とりまとめられたのか明らかではありません。国民の意見や要望がまったく反映されておらず、相変わらずの電源構成案です。
抜本的な見直しをおこない、実効ある温暖化対策を求めます。そのためには、「原発ゼロ」を決断し、省エネルギーと再生可能エネルギーの積極的目標を決め、脱石炭火力でCO2排出削減を進めるべきです。今年末の気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、気温上昇を産業革命前から2℃未満に抑える世界の削減合意をめざし、世界第5位の温室効果ガス排出国日本が大幅削減目標を掲げ、先進国としての責任を果たすべきです。以下、つよく要望します。
1、見直し案では、東京電力福島第一原発事故後、1基も動いていない原発を20~22%と2010年度(25%)を少し下回る数値で、事故以前に戻すことになります。事故から4年3ヵ月たってもなお、原因究明もできていません。また、見直し案は、原子力規制委員会の「判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」と述べていますが、「避難計画」は、新規制規準に含まれていません。自治体任せにせず、国が責任を負うべきです。さらに、「…円滑な廃炉や核燃料サイクル事業の安定的・効率的な実施などのための原子力発電の事業環境整備を図る」とありますが、廃炉への道筋も定かでなく核廃棄物処理の方法もありません。国民の多くの声は、「原発ゼロ」であり、政府の決断を求めます。
1、CO2排出が天然ガスの2倍にもなる石炭火力発電は26%で、今でさえ多いのに、さらに2%増の計画です。温暖化を進める火力発電の削減が喫緊であるのに増やすなど、世界から見ても逆行です。
1、再生可能エネルギーは22~24%で欧米各国の目標からは大きく下回ります。その内訳の風力発電1.7%は極端に少なく、太陽光発電7%にいたっては、すでに設備認定されているだけで、この数値をはるかに超え、新たなものはつくれません。「再生可能エネルギー間のバランスの取れた導入や最大限の導入拡大と国民負担抑制の両立が可能となるよう制度の見直しを行う」とされていますが、自然豊かな日本で再生可能エネルギーを計画的に増やし、エネルギーシフトで地球温暖化対策を進めるべきです。「経済効率性」で電気料金の抑制が喫緊の課題といい、再生可能エネルギーの導入を促進することが電力コストの大きな上昇圧力となると記し、原発のコストが安いかのようにいうのは偽りです。再生可能エネルギーが普及している欧州では、大量普及によるコスト削減が成功しています。
1、2030年めざす温室効果ガス削減案は、「2013年度総排出量比21.9%減となる」とあります。これは、「日本の約束草案(政府減案)」の「2013年比26.0%」との整合性もありません。欧州連合(EU)はじめ各国が1990年比40%、50%と高い目標案を決めているにもかかわらず、2013年を基準とするごまかしです。90年比にするとわずか18%です。日本も世界に呼応し、90年比で温室効果ガスを40~50%削減の目標を提出すべきです。2013年は東日本大震災後、動かない原発に代わり火力発電を増やし温室効果ガスの排出が多い年です。多くの先進国が温室効果ガス削減の裏づけとして、再生可能エネルギーの目標案は40%以上です。福島原発事故後脱原発を決めたドイツはもちろん、原発維持のイギリスも20年に30%、EUも30年に45%です。アメリカで最大の人口をもつカリフォルニア州は30年に50%をめざしています。
1、研究者・NGO・市民など、多くの提案を幅ひろく取り入れ、「原発ゼロ」が多数の国民参加の議論で、気温上昇2℃の温暖化対策を前提に広く議論すべきです。
【パブリックコメント】長期エネルギー需給見通し策定に向けた意見