新日本婦人の会中央本部
今年12月パリで開かれる国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、2020年以降の新しい温室効果ガス排出削減の国際的枠組を合意するため、各国が自国の排出量削減目標を含む約束草案(国別目標案)を今年3月までに提出することになっていましたが、日本は提出できませんでした。新日本婦人の会は4月17日、経済産業省エネルギー庁あてに、「『原発ゼロ』、省エネ・再生可能エネルギー中心にエネルギーシフトし、温暖化対策抜本的強化の温室効果ガス削減目標を求めます」の意見を提出し、「すべての原発を廃炉」にし、「2030年に温室効果ガス排出量を1990年比で40~50%削減する目標を提出すること」をつよく要望しました。
今回の政府原案はあまりにも低い数値であり、以下、抜本的な見直しを求めます。
1、政府原案の「2013年度比26.0%(2005年度比25.4%)」は、1990年比ではたった18%です。欧州連合(EU)はじめ各国が90年比で40%、50%と高い目標案を決めていることと比べてもとても低く、これでは日本政府が掲げる「2050年世界半減、先進国全体80%減」の達成も不可能です。さらに、2013年を基準にするというごまかしは、やめるべきです。13年は東日本大震災後、動かない原発に代わって火力発電を増やし、温室効果ガスの排出が多い時です。見せかけではなく、世界第5位の排出国日本の責任を果たすために、90年比40~50%削減をめざすべきです。
1、「温室効果ガス削減目標積み上げに用いたエネルギーミックス」(資料1-3)では、原発を20~22%としています。まるで東京電力福島第一原発事故がなかったかのように事故以前(2010年度25%)に戻すことは許されません。事故から4年3ヵ月たってもなお、原因究明もされていません。原子力規制委員会の新規制基準には、他国で義務づけされている「避難計画」もなく、国は責任を負わず自治体任せであることに住民の抗議の声がひろがっています。そして、廃炉への道筋も定かでなく、核廃棄物処理方法もありません。政府は原発ゼロの決断を直ちに行うべきです。
1、CO2排出が天然ガスの2倍にもなる石炭火力発電が26%というのは、今でさえ多いのに、さらに2%増の計画であり、石炭火力発電所の増設などはやめるべきです。
1、再生可能エネルギーは22~24%としていますが、欧州各国が40%以上の目標を掲げていることと比べると大きく下回ります。福島原発事故後脱原発を決めたドイツはもちろん、原発維持のイギリスも20年に30%、EUも30年に45%です。日本政府の原案の再生可能エネルギーの内訳では、風力発電の1.7%は極端に少なく、太陽光発電7%にいたっては、すでに設備認定されているだけで、この数値をはるかに超え、新たなものはつくれません。自然豊かな日本で再生可能エネルギーこそ計画的に増やし、省エネと再生可能エネルギーにエネルギーシフトすべきです。
1、資料2の「地球温暖化防止に関する国民運動の開始について」の提起は、問題の本質をそらすものです。国民や企業の省エネ努力は原発13基分に相当するといいます。CO2を最大排出している石炭火力発電所、鉄鋼、化学工業、セメント、製紙などへの規制こそ、徹底しておこなうべきです。
【パブリックコメント】日本の約束草案(政府原案)に対する意見