新日本婦人の会 会長 笠井貴美代
財務省は16日、福田淳一事務次官の女性記者に対するセクハラ疑惑について、同次官が疑惑を否定し、女性記者に名乗り出るよう求める調査結果を発表しました。
被害者が名乗り出なければセクハラの事実を認定できない、自分たちの顧問弁護士に調査を委託するなど、被害者保護の大原則を無視して加害の疑惑を受けている次官を擁護し、事実のもみ消しを図ろうとする麻生大臣の責任は重大です。「本人が出てこなければどうしようもない」との大臣の発言は、セカンドレイプ(二次被害)であり恫喝そのものです。私たちは、怒りを込めて強く抗議し、福田次官の即時辞任と罷免、麻生大臣の辞任を求めます。
安倍内閣が策定した第4次男女共同参画基本計画(2015年12月25日閣議決定)では、「セクシャルハラスメントは人権侵害であるとの認識に立ち、防止のための事業主の意識改革を促進する」とし、「セクシャルハラスメントの行為者に対して厳正に対処し、再発防止策を講ずるとともに、被害者の精神的ケアを強化する」としています。大臣、首相が自らこれをふみにじっていることは、言語道断です。
安倍政権は「女性が輝く社会」を掲げていますが、日本はジェンダーギャップ指数で144カ国中114位まで落ち込み、先進国で最低の水準です。女性差別撤廃条約など女性の人権にかかわる国際合意について、日本政府は国連からくり返しとりくみの不十分さを指摘され、外交でも「カヤの外」と厳しい目を向けられています。安倍首相は今回の件で「膿を出し切る」と明言しましたが、人権感覚欠如の安倍政権こそが、「膿」そのものです。
後を絶たない改ざん、隠ぺい、ウソとごまかしのうえ、セクハラ問題さえまともに対応できない安倍政権はもはや、政府の体を成していません。安倍政権は、ただちに総辞職することを求めます。