2006年12月15日、政府・与党は、教育基本法改悪法案を自民・公明の賛成多数で、可決・成立させました。徹底審議をもとめる多くの国民の声を無視し、改悪教育基本法を成立させたことに心からの憤りを込めて抗議します。
改悪教育基本法は、第2条に「教育の目標」をおいて「国を愛する態度」を入れ込み、学校にその達成を義務づけ、子どもに押しつけるものです。これは「内心の自由」を定めた憲法19条に違反します。また第16条で「教育は・・この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」として、政府が教育を統制し介入するという、個人の尊重、学問の自由、教育の権利などを定めた憲法13条、23条、26条を乱暴に侵すものです。憲法違反の法律の存在などありえないことです。
教育基本法改悪のねらいは、9条を中心とする憲法改悪と一体となった「戦争する国」の人づくりにあり、子どもと日本の未来にかかわる大問題です。
さらに、いじめを苦にした子どもの自殺や必修科目未履修問題など、審議中に噴出した子どもや教育をめぐる問題は、競争と管理をさらにつよめる改悪法によって、いっそう悪化することは必至です。同時に、政府が「国民の声を聞いた」ことの根拠にした「タウンミーティング」「教育フォーラム」での「やらせ発言」や「さくら」問題が発覚したことは、法案提出の根幹にかかわる重大問題です。
子どもと教育の未来にかかわる重要な法律を、拙速な審議で成立させてはならないと、日本弁護士会、学者・研究者・文化人、国際婦人年連絡会などの各界、また教育行政にたずさわる教育長や多くの地方議会からもからこぞって反対、もしくは慎重審議が表明されたことは特筆すべきことです。教職員組合のちがいを超えた集会などが各地で大きなうねりとなってひろがり、かつてない規模の共同が生まれました。
新日本婦人の会は、教育基本法を読んで学びあい、わが子の問題として引き寄せ、紙芝居や人形劇、手作りのリーフなどでまわりにお母さんに知らせながら、宣伝・署名行動、国会議員要請にと立ち上がりました。このなかで学校の先生方をはじめ、子どもと教育にかかわるさまざまな団体、個人と共同をひろげてきました。
改悪法が通されたもとでも、こうした共同の力をいっそうひろげ、教育について語り合い、子どもたちのゆたかな成長・発達にとって何が大切なのか、何が求められているのか、日常的な話し合いや行動を草の根からとりくみ、子どもと教育の未来をゆたかなものに発展させていきます。
現憲法と改悪教育基本法の実施は相容れません。今後、改悪法の具体化と押しつけをゆるさないたたかいと、正念場となる憲法を守る運動に全力をあげる決意です。
新日本本婦人の会中央常任委員会