新日本婦人の会は11月22日、安倍晋三内閣総理大臣らに、要請書「セクシュアル・ハラスメントの禁止を盛り込んだ実効ある包括的な法整備を求めます」を送付しました。
内閣総理大臣 安倍晋三様
女性活躍担当大臣・男女共同参画担当大臣 片山さつき様
厚生労働大臣 根本 匠様
厚生労働省労働政策審議会 雇用環境・均等分科会委員各位
新日本婦人の会中央本部
会長 笠井貴美代
セクシュアル・ハラスメントの禁止を盛り込んだ
実効ある包括的な法整備を求めます
新日本婦人の会は、1962年の創立以来、平和と女性の人権・地位向上を掲げて全国で運動する、国連NGOの女性団体です。
現在、厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、職場におけるハラスメント対策、女性の活躍推進法、男女雇用機会均等法について見直しの議論が行われています。初めて企業にパワーハラスメント防止対策を求め、セクシュアル・ハラスメント対策も強化するなど、誰もが安心して働き続けられる環境づくりと女性の人権確立への大きな一歩として期待されます。
同時に、セクハラやパワハラは職場だけの問題ではなく、議会や学校、スポーツ界、地域などさまざまな場面で起こっています。とりわけセクハラは、根強い性差別や女性蔑視が背景にあり、グローバルジェンダーギャップ指数で144カ国中114位という、日本のジェンダー平等の大きな遅れを克服するためにも、その根絶は緊急の課題です。
この間の官僚によるセクハラや、閣僚・政治家による相次ぐ性差別の暴言は、「セクハラは重大な人権侵害」「暴力」であり、いかなる場面でもいかなる理由によっても許されないという、国際社会で確立されている認識が日本では十分共有されていないことを示しています。2006年の男女雇用機会均等法改正で、企業に対してセクハラ防止措置が義務付けられましたが、実効性がなく、セクハラを禁止する法律の制定がどうしても必要です。
国際労働機関(ILO)が来年の総会に向けて、「仕事の世界における暴力とハラスメント」根絶のための条約と勧告の制定へと準備をすすめるなか、日本でこそ、これをチャンスとする時です。日本政府は消極的な態度を改め、条約制定とふさわしい水準の国内法整備へと踏み出すべきです。また、分科会での議論のなかで、使用者側がガイドラインや防止措置義務などにとどめようとしていることは、企業の社会的責任からみても許されません。
新日本婦人の会は、緊急提言「セクハラのない社会をつくるために」を発表し、「セクハラは重大な人権侵害」との社会的合意をつくることを呼びかけ、各地で行動しています。今回の法整備が、セクハラをはじめあらゆるハラスメントや暴力のない社会の実現につながる実効あるものとなるよう、以下、要望します。
記
1.あらゆるハラスメントを禁止する包括的な法律を制定すること。
1.セクシュアル・ハラスメントとは何かを明確に定義して禁止すること、加害者への罰則、被害者の保護と救済、支援、行政から独立した専門機関の設置を盛り込んだ法律を制定すること。
1.ハラスメントの温床となっている長時間労働や非正規化など劣悪な労働条件、格差を改善し、ディーセント・ ワークの確立へ、法規制をつよめること。
※PDFになったものダウンロード可能です。
セクシュアル・ハラスメントの禁止を盛り込んだ 実効ある包括的な法整備を求めます