新日本婦人の会は6月6日、談話「ハラスメント禁止、救済機関急いで―関連法成立にあたって」を発表しました。
【 談 話 】
ハラスメント禁止、救済機関急いで―関連法成立にあたって
新日本婦人の会副会長 米山淳子
職場のハラスメント対策などを盛り込んだハラスメント関連法(女性活躍推進法等の一部改正法)が5月29日、参議院本会議で賛成多数で成立しました。
今回の法改定では、セクハラやパワハラ、妊娠出産を巡るマタニティーハラスメントは「行なってはならない」と明記し、事業主に防止対策を取るよう義務付けられました。しかし罰則を伴う禁止規定はなく、実効性に乏しいものと言わざるをえません。
セクハラやパワハラは、被害者の尊厳・人格を傷つける重大な人権侵害であり、日本国憲法13条(個人の尊重)にも女性差別撤廃条約にも違反します。
セクハラを禁止する法規定がない国はOECD(経済協力開発機構)加盟国36カ国の中では日本を含む3カ国のみです。今月のILO(国際労働機関)総会で採択をめざす「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する条約」は、「暴力とハラスメント禁止法規」や制裁規定、効果的被害者保護対策などを求めるもので、こうした実効ある法律を求める女性・国民の声に背を向けて、十分な審議もなく採決を急いだことに、強く抗議します。
全会一致で採択された付帯決議(衆院17項目、参院21項目)には、ハラスメント行為の禁止規定や、フリーランスや就職活動中の学生を対象に含めること、取引先や顧客などの第三者も対象にするなどの検討事項があがり、「施行5年を待たずに検討する」としています。
新婦人は、セクハラ、パワハラの禁止を明記した法整備と独立した救済機関の設置を求め、約3万4千の署名を集め、政党や地元議員、メディアや労働委員などへの懇談・申し入れを広げてきました。
あらゆるハラスメントを禁止し、実効性のある法律に一日も早く改正するために、多くの女性・国民と一緒に行動を強めます。
2019年6月6日
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