2008年10月16日 ジェンダー平等

草の根の運動、国会へ「日本軍『慰安婦』問題の一日も早い解決」を求める院内集会 ―10月8日―

新婦人しんぶん 2008年10月16日号

10月8日、売買春問題ととりくむ会(14団体)のうち12団

「国会議員への働きかけを強めよう」と (8日、国会内)
「国会議員への働きかけを強めよう」と (8日、国会内)

体(新日本婦人の会、日本キリスト教婦人矯風会、全国婦人相談員連絡協議会、東京YWCA、日本婦人団体連合会など)のよびかけにより、第9回アジア連帯会議(11月23~25日)のプレ企画として、「日本軍『慰安婦』問題の一日も早い解決」を求める院内集会が開かれ、会場いっぱいの100人が参加しました。
よびかけ人を代表して同会の高橋喜久江事務局長は、「とりくむ会として1988年からこの問題をとりあげてきた。国際社会での大きな変化を理解しながら、今後の活動に生かしていきましょう」とあいさつしました。
「日本軍『慰安婦』問題をめぐる 世界と日本の動き」と題して、「女たちの戦争と平和資料館(Wam)」の渡辺美奈事務局長が講演。1991年に韓国の被害者・金学順さんが名乗りをあげてからの日本、諸外国、国連の動き(年表参照)を説明しました。
☆米下院採択の背景慰安婦問題をめぐる動き
つづいて渡辺さんは、2007年7月、米国下院で日本政府に対して謝罪を求める決議が採択された背景を詳しく紹介しました。アメリカの女性団体・V―dayが2005年3月の国連女性の地位委員会(北京+10)で、「慰安婦」問題を2006キャンペーンの課題にすることを発表。また米議会は、06年2月にV―dayが働きかけ非公式報告会を開催、韓国の被害女性2人の証言を聞いた共和党の議員が初の共同提案者に。さらに06年11月の中間選挙で民主党が多数になったことが大きな影響を与え、翌年2月には下院外交委員会が、韓国とオランダの被害女性の証言を聞く公聴会を開きました。しかもこの直後、安倍首相(当時)による軍の強制連行否定発言や、自民・民主の国会議員44人による「日本軍『慰安婦』否定」の新聞意見広告など、歴史の真実を否定する政治家の暴言や行動への反発が一気に高まったことも決議採択の背景となりました。
☆人権団体も変化
アメリカだけでなく、オランダ、カナダの議会下院やEU議会で同様の決議が採択されるなど国際社会の大きな流れの背景には、国際アムネスティが「ストップ! 女性への暴力」キャンペーンを開始し、その中で「慰安婦」問題を大きくとりあげたことがあげられます。「被害者の証言がきっかけとなり、それを受け止める運動があったからこそ」と指摘しました。
これらのことが国連に大きな影響を与え、「今までは現在のものに限る」としてきた拷問禁止委員会から日本政府に07年勧告が出され、08年には国連人権理事会普遍的定期審査(UPR)で勧告が出されました。しかし日本政府は、それらの勧告を拒否する不当な態度をとっています。
☆国内でも力をあわせて
渡辺さんは日本国内のことにふれ、06年にすべての中学校教科書から「慰安婦」の言葉が削除され、麻生太郎首相(当時外務大臣)は07年、「慰安婦」問題について「軍が強制的に性奴隷としたような事実は認めていない」と答弁したことや、日本政府がアメリカ議会で「慰安婦」決議をさせないように税金(2001年から05年までで4億8千万円)を使ってロビー活動をした事実などを紹介。問題解決への一歩として今後、「国会や公聴会など公式な場で被害女性たちが証言し、公式の記録とすることが大切」「せめて被害女性たちが生きている間に日本政府が責任をとるように、がんばっていきましょう」と結びました。
集会は全政党に案内し、当日は民主、共産、社民各党の女性国会議員がかけつけ、連帯あいさつしました。交流では、「93年に当時の河野官房長官が『慰安婦』の強制を認めておわびと反省を書いた『河野談話』をぜひ国会で決議してほしい」、ミュージカル「日本軍『慰安婦』ロラ・マシン物語」を成功させた山梨で「県議会にむけて請願行動を」、「今度の選挙は政治を変えるチャンス」などの発言が。
新婦人の高橋和枝副会長が、「新婦人でも〝今年こそ解決を〟と各地で学習と立法を求める署名にとりくんでいる。埼玉の川口では若い女性たちがWamに出かけ、〝本当に苦しくて、切ないけど、ちゃんと真実を見て、知ることが大切〟と感想を寄せています。これからも国会への働きかけを強め、草の根で運動をひろげていきたい」と決意を語りました。
閉会あいさつをした東京YWCAの大野綾子幹事は、「『慰安婦』問題の解決にこぎつけるために、署名を集め大きな力にしながら、11月23日から25日に開かれる〝第9回アジア連帯会議〟を成功させましょう」と訴えました。院内集会後、参加者は参議院議員あてに、アジア連帯会議への参加をよびかけながら「〝戦時性的強制被害者問題解決促進法〟を早期に制定してほしい」と要請行動をしました。慰安婦問題をめぐる動き
 

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