今年は4年に一度の小学校教科書採択の年です。小学校の全教科の教科書展示会が6月から始まります。ポイントがわかるパンフレットができあがりました。
教科書カフェ、学校カフェなどでの学習会にご活用ください。
▼新婦人しんぶん 2024年6月3日号7面の記事より
小学校教科書 採択の年 私たちの声を届けましょう
2024年度の小学校教科書の展示が各地でおこなわれています。
今年は、11教科、149点の教科書が採択にかかります。今回展示される教科書をどうみたらよいのか、ポイントを紹介します。
展示会場で役立つリーフレットも参考にしてください。
教科書にQRコード
今回全ての教科書に「QRコード」などの二次元コードが記載されました。端末を使って調べながら学ぶという形に授業のあり方が変わり、子どもたちが図書館で調べたり、紙の辞書を引いたりするなど思考を鍛える機会が減る恐れがあります。気を付けたいのは、二次元コードのアクセス先です。アクセス先は検定対象とならないため、教科書から防衛省のキッズサイトに飛んでしまう教科書も(6年社会・教育出版)。小中学生対象の自衛隊の「お仕事体験」や高校生への勧誘が問題になるなか、注意が必要です。
歴史認識の後退
この間の教科書記述に対する政治介入や、検定基準改悪の影響を受けて、領土問題や歴史認識についての記述が後退しています。政府の見解だけを述べた教科書では子どもたちの考える力を育てることができません。
2018年から道徳が教科化されました。今回も、教科書全体に対し、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度の扱いが不適切」という検定意見がついたため、教科書会社が修正した例が目立ちます(2年道徳・教育出版、6年道徳・日本文教出版など)。教科書や評価によって徳目が押し付けられる、教科としての「道徳」に対する意見も大切です。
性の多様性も
保健の教科書6社すべてが性の多様性を扱うという大きな変化がありました。
また、全体的にネットリテラシーに関する記述が増えました。教科書編集最終の時期に始まったロシアのウクライナ侵略についての記述のある教科書もあるなど、積極面もみられます。
ページ数は過去最大
授業時間数と学習内容が増やされているなか、教科書の総ページ数は過去最大です。子どもたちにとって難しすぎる内容、量が多すぎるものになっていないかも注意が必要です。
展示会へ意見を
教科書採択は、数人の教育委員によってのみおこなうものではなく、子どもと一緒に教科書を使う職員や保護者、市民の声にもとづいておこなわれるべきです。
2020年の中学校教科書採択では、侵略戦争を正当化する育鵬社などの歴史教科書を、新婦人をはじめとした、ねばり強い市民の運動の力で押し返しました。子どもたちによりよい教科書を届けるために、こうしたポイントを踏まえて、展示会に足を運び、積極的に意見を届けていきましょう。