2014年3月14日 新日本婦人の会
1、パブコメのまとめ方と国民的議論なしのすすめ方に抗議します
資源エネルギー庁は、「エネルギー基本計画」政府案と「新しい『エネルギー基本計画』策定に向けたパブリックコメントの結果について」をWEB上で公開しました。新日本婦人の会も提出したパブリックコメント約1万9000通にのぼる意見を公表せず、原発への賛否も示さず、原発ゼロを求める声には反論するという異常な手法をとっています。パブコメの意見はすべて公表し、国民的な議論の場を保証するよう強く求めます。
2、時代錯誤の「エネルギー基本計画」案は撤回してください
「エネルギー基本計画」案は、まるで東電福島第一原発事故がなかったかのように、また地球温暖化への科学の警告も無視しています。あいかわらず経済コスト論などを展開し、原発と石炭火力を「重要なベースロード電源」とし、エネルギー大量消費社会から持続可能な低炭素社会への転換を拒否する、時代錯誤の内容となっています。財界・産業界に言われるままの政府案は撤回しかありません。
◇福島原発事故の危機的状況のもと、原発を「重要なベースロード電源」とすることはありえません
福島原発事故は、今なお原因究明されず、放射能汚染水問題の解決をはじめ収束の見通しも立たず、危機的状況です。事故の教訓に向き合わず、原発を「重要なベースロード電源」とすることはありえません。3・11を経て多くの国民が「原発ゼロ」を求めているのに、民意を尊重しないエネルギー政策などあるのでしょうか。福島では「原発10基の廃炉」「即時原発ゼロ」が県民の総意です。また、最近の世論調査でも、再稼動反対が5割を超え、原発を「減らすべき」と「すべて廃止」で8割近くになります。政府は「原発ゼロ」の政治決断こそおこなうべきです。
◇「原発は低コスト」[安定供給」論はごまかしです
「原発は低コスト」といいますが、放射能汚染水対策をはじめ事故の収束、除染や賠償、廃炉など、巨額な予算が必要となることは明らかです。また、「安定供給できる」といいますが、福島原発事故後に計画停電が発生したり、現在すべての原発が停止していることをみても、安定したエネルギーとはいえません。原発燃料のウランが海外からの輸入であるのに、政府案が「国産エネルギー」と位置づけていることもまったくのごまかしです。
◇原発の使用済み燃料の処分対策はすでに破綻しています
使用済み燃料(核のゴミ)は2万4000トンにのぼります。政府案には、「貯蔵能力の拡大へ向けて政府の取組を強化…放射性廃棄物の減容化・有害度低減などの技術開発を進める」とありますが、処分問題は世界でも日本でもまったく見通しがなく、核燃料サイクルもすでに破綻しています。「廃棄物を発生させた現世代の責任として、将来世代に負担を先送りしないよう」というなら、すべての原発廃炉へ責任ある計画をつくり、高度な技術と人材の投入による一大国家事業としてすすめることです。
◇原発の再稼動・新増設、輸出などは中止すべきです
レベル7の原発事故を起こした日本が「原発の再稼動、新増設、輸出をするなど考えられない」の声は国内外で広がっています。核のゴミ処理もできず、そのうえ巨大地震が警告されていることを考えても、政府案の原発推進はありえません。トルコとの「原子力協定」を結ぶ法案の今国会への提出にも反対です。
◇CO2排出など環境負荷の多い石炭火力を「重要なベースロード電源」とするはありえません
石炭を「重要なベースロード電源」と位置づけ、石炭火力発電を国内も海外輸出も推進し、支援するとしていますが、CO2排出が最大の石炭火力発電の建設は、世界の温室効果ガス排出削減を妨げ、次世代の生存をも脅かすものです。
◇再生可能エネルギーへの転換を中心にすえるべきです
政府案は、日本は「国内資源が限られた国」と決めつけ、豊かな国産エネルギーである再生可能エネルギー中心に切り替える方向や目標がまったくみられません。ドイツなどでは福島原発事故後、脱原発を宣言し、再生可能エネルギーを原発や火力よりも優先し拡大するしくみを確立、その普及を大きく促進しています。風力や太陽力は予測可能、電力消費も予測可能、その調整を柔軟性のある水力とガス火力中心にし、再生可能エネルギーの割合を引き上げて、需給安定の両立を図っています。日本政府も、国民の声を真剣に受け止め、原発ゼロをただちに決断し、省エネと再生可能エネルギーへ目標と本格的な対策をもってとりくむべきです。
「エネルギー基本計画」政府案の撤回を求めます