結成よびかけ
compellationよびかけ ~新しい婦人組織のために~
わたくしたち婦人は、誰でもみじめな戦争に子どもや夫をさらしたくないと、かたく考えています。
わたくしたちは、平和を守り抜くことができるでしょうか。
有名な小説家パアル・バックがいっています。
「位もなにももたないただの人間は世界中どこへ行っても同じだ!」と。アメリカの女性のなかにも、国がちがうからといって、人間と人間が敵になるような戦争は起してはならない、と考えている人々が多いのです。
わたくしたち婦人の平和への願いは、けっして夢ではないのです。ただ残念なのは同じ願いに燃えながら、おたがいに遠くばらばらで気をもんでいることです。
最近の世界の動きをみてみますと、また戦争の足おとを身近に感じます。平和憲法を改めて徴兵制をしこうとする動きもあります。日本の各地にアメリカの基地をもつわたくしたちとしては、たいへん心配なことです。
歴史が教えていますように自由と民主主義がふみにじられ、国民生活がおびやかされるということは、戦争のまえぶれです。この頃のようなはげしい物価の値上がりは、ますますその感じをふかめさせます。
今こそわたくしたちは、心をひとつにしておたがいに励ましあい、世論をおこしていかねばなりません。
わたくしたちは平和を愛し、祖国の独立をのぞみます。このわたくしたちの声はおさえないでください。
わたくしたちは完全軍縮をのぞみます。核兵器はすぐに捨ててください。
わたくしたちはくらしがよくなることを望みます。
子供の教育の問題や生活問題など、しんみに相談しあいましょう。
そして中央や地方に婦人が気やすく集まれる家や、場所もつくりましょう。
戦争中わたくしたちは大きな婦人団体にいれられ、軍部のおもうままに使われた、にがい経験があります。戦後は民主的な運動も大きくなり、婦人団体もたくさんでき、血のかよったグループ活動もさかんになりました。ところが全国的な一つのつよい婦人組織がないために、婦人のもつすばらしい力を十分発揮できないでいます。
今こそ、思想、信条、政治的見解のちがいをこえて、わたくしたち一人一人の力をあわせるときではないでしょうか。
この一つにあわせたみんなの力で、たのしい生活、明るい日本をきづきあげましょう。
一九六二年一月
右世話人代表
岩崎ちひろ 大山柳子 小笠原貞子 大道 俊 小高美沙子 大塚道子 大関清子 河原崎しづ江 河崎なつ 勝目テル 苅田アサノ 桑沢洋子 岸輝子 櫛田ふき 嶋津千利世 塩谷アイ 関鑑子 帯刀貞代 壷井栄 富本一枝 長橋千代 野上弥生子 野坂りょう 羽仁説子 平塚らいてう 深尾須磨子 丸岡秀子 松山樹子 丸木俊子 真山美保 山代巴 山本あや